ウクライナの独占電話会社であり大手インターネットサービスプロバイダーでもあるUkrtelecomが、同社のインターネットトラフィックが遮断され、ウクライナ国内で広範囲にわたりインターネットサービスが停止するという事態が起きたと報告しています。

Traffic at major Ukrainian internet service provider Ukrtelecom disrupted - The Record by Recorded Future

https://therecord.media/traffic-at-major-ukrainian-internet-service-provider-ukrtelecom-disrupted/

Ukrainian telecom, government blame cyberattack for most severe disruption since Russian invasion - CyberScoop

https://www.cyberscoop.com/ukraine-teleco-disruption-attack-russia/

Ukraine says major cyberattack against telecom has been 'neutralized' | VentureBeat

https://venturebeat.com/2022/03/28/ukraine-says-major-cyberattack-against-telecom-has-been-neutralized/

ウクライナ国家特別通信サービスが、2022年3月29日に「本日、敵はUkrtelecomのITインフラストラクチャーに対して強力なサイバー攻撃を仕掛けました。ウクライナ国家特別通信サービスのYurii Shchyhol長官は、現時点でUkrtelecomに対する大規模なサイバー攻撃は無力化されていると説明しています。また、すでにサービス再開に向けて進行中です」とツイートし、ロシア側からのサイバー攻撃によりUkrtelecomのインターネットサービスが停止したと説明しています。



続けて、「ネットワークインフラストラクチャーを維持し、ウクライナの軍隊やその他の軍隊および顧客にサービスを提供し続けるため、Ukrtelecomは大多数の個人ユーザーおよびビジネスクライアントへのサービスの提供を一時的に制限しています。ウクライナ国家特別通信サービスの専門家が状況に迅速に対応したおかげで攻撃は撃退されました。そして今、Ukrtelecomは顧客へのサービス復元を開始する能力を備えています」と述べています。



一方で、サイバーセキュリティとインターネットのガバナンスを監視する監視組織のNetBlocksは、「ウクライナの国内プロバイダーであるUkrtelecomが、大規模なインターネット障害を記録しています。リアルタイムネットワークデータによると、インターネット接続が戦前の13%まで下落しています。プロバイダーは新しいセッション割り当てに関する問題を報告しています」とツイート。



同じくネットワーク監視企業であるKentikのデータによると、Ukrtelecomのトラフィック遮断によるネットワーク障害は現地時間の11時頃から5時間以上にわたり続いています。また、この障害によりUkrtelecomのウクライナ国内におけるトラフィック量は全体の7番目まで落ち込みました。なお、ウクライナ国内のインターネットサービスプロバイダーのうち、同国の農村部でインターネット接続サービスを提供しているのはUkrtelecomのみです。



現地の報道によると、Ukrtelecomは元国営の電気通信事業者であり、記事作成時点ではウクライナで最も裕福な人物であるRinat Akhmetov氏により管理されています。2021年初頭の時点でUkrtelecomは20万人以上の固定ブロードバンド加入者を抱えており、同社の最高技術責任者であるDmytro Mykytiuk氏によると数千人の従業員が物理的に破壊されてしまったネットワークケーブルを修復するために働いているとのこと。

なお、Ukrtelecomは2022年3月8日と10日にもネットワーク障害に見舞われており、別のインターネットサービスプロバイダーであるTriolanでも3月10日に大規模なネットワーク障害が発生しています。