ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、ロシア国内ではTwitter・Facebook・InstagramといったSNSへのアクセスが遮断されています。さらに、ロシア政府が国内のインターネットを海外から切り離すことを計画している可能性が指摘されるなど、ロシアではインターネットへの自由なアクセスが制限されつつあります。そんな中、インターネット検閲回避サービス「Lantern」がロシア政府によるインターネット遮断の影響を受けないP2P型ネットワークをロシア国内に構築中であることが判明しました。

Meet the Secretive US Company Building an ‘Unbreakable’ Internet Inside Russia

https://www.vice.com/en/article/z3n5e9/russian-internet-lantern

ロシア政府はウクライナへの侵攻を開始してい以降、TwitterやFacebookといったSNSに加えてGoogleニュースのようなニュースサービスへのアクセスも遮断しています。また、ロシア政府は2019年に「国内のネットワークをインターネットから切り離す実験」に成功しており、今後ロシア政府が実際にネットワークの切り離しを実行する可能性も指摘されています。このロシア政府によるインターネット検閲への対抗手段として注目を集めているのが、インターネット検閲回避サービス「Lantern」です。

ロシアが「国内ネットワークをインターネットから切り離すテスト」に成功 - GIGAZINE



Lanternはアメリカ政府が資金援助する非営利団体「Open Technology Fund」から合計109万1506ドル(約1億3500万円)の資金提供を受けた実績を持つサービスで、Windows、macOS、Ubuntu、iOS、Android向けにインターネット検閲回避アプリを提供しています。Lanternを用いると、インターネット検閲の影響を受ける地域であっても世界中に分散したサーバーを介して外部の情報にアクセスすることが可能です。このため、Lanternは中国などのインターネット接続が検閲されている地域で大きな人気を集め、記事作成時点までに1億5000万回以上ダウンロードされています。また、月間アクティブユーザーは700万人に及んでいます。



Lanternの開発チームによると、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降の4週間で、Lanternのサーバーを介した通信が約1000倍に増加したとのこと。しかし、例えロシア国民にLanternの利用が広がったとしても、「国内のネットワークをインターネットから切り離す」という措置が実行されてしまえば海外のサーバーを介した検閲回避が不可能となってしまいます。この事態に備えて、Lanternの開発チームはロシア国内でP2P通信を行うための下準備を約2年間に渡って実行してきたとのこと。開発チームは、構築中のP2P型ネットワークが実際に機能すれば、LanternユーザーはP2P型ネットワークを利用して戦争への抗議文や最新情報を含んだムービーを検閲を恐れず共有可能になるとアピールしています。