Ai Nina

デジタル製品を活用するアーティストのインタビュー、今回はアップルのTV CM『Macで、力を解き放つ』に出演された藍にいなさんにお話をうかがいました。

藍にいなさんといえば、最近ではYOASOBI『夜に駆ける』のミュージックビデオなどアニメーション表現で著名な新進気鋭のアーティスト。

藍にいなさん

インタビューでは愛用するMacとの出会いから表現者としての考え方、最近乗り換えたというM1チップ搭載MacBook Proの使い心地やアニメーションの制作環境、Appleにはこんなものを作って欲しいまで語っていただきました。

Macとの出会い

―― 藍さんと Mac の出会いについて教えてください

Macは大学の2 年生くらいの時に使いはじめました。それまでは違うパソコンを使っていたのですが、本格的にアニメーションだったりイラストの制作をするとなった時に、やっぱり使いやすいのがMacと学校の友人などから聞いて、そこから使い始めました。

―― ミュージックビデオのアニメーションはどんなツールで、どんなふうに制作されるんですか

やりかた的に言うと、本当にパラパラマンガを複雑にしていったみたいな感じです。 1 つのミュージックビデオで大体 1000 から 1500 枚くらいは描くんですけれど、アプリとしては最近はCLIP STUDIOという作画アプリで、Wacomの液タブをマックにつないで使っています。そこで作画をしてから、映像に落とし込むのはアドビのAfter Effectsで全部まとめてやっていますね。

―― 1500 枚!すごい時間かかりそうですね。ミュージックビデオ 1 本に何日ぐらいかかるものなんですか?

かなりかかりますね(笑い)。私はだいたい1 ヶ月から 2 ヶ月くらいの製作期間です。

―― イラストもクリスタで描かれるんでしょうか。

そうですね。クリスタで描く場合もあれば、最近はiPad にProcreateというソフトがあるので、それを使っていることが結構多いです。

―― ミュージックビデオの制作過程って、ざっくりどんな手順なんでしょうか。具体的なオーダーが出ることも出ないこともあるんだろうなと想像するんですが。

私の場合は意外と、クライアントさんのほうから何か指示をいただくことはあまりなくて、本当に自由に作ってくださいと言ってくださる方が多くて。

楽曲のデータを頂いて、そこから私が自由にまずスケッチのような感じで、こういう感じのテイストはどうですか?っていうものをお渡しして。それですり合わせじゃないですけど、何かお返しがあったらそこで言っていただいて、それでオッケーだったらそこから絵コンテとしてまとめて。それはまた確認していただいて、 本番の作業に移るっていう工程です。結構、自由に作らせていただくことが多いですね。

―― いまはどんなMacをお使いなんでしょうか。選んだ理由も教えてください。

いまは届いたばかりのM1チップのMacBook Proなのですが、それまでは2年ほど前に購入したMacBook Proを使っていました。アニメーションを作るために使うことは決まっていたので、そのためにスペックをわりと積んで、大きさも割と大きめで。持ち運べるけれど、そんなに家以外のところで作業するわけではなかったので、スペック重視で選んでいきましたね。

―― iPadはどんな使い方をされてるんですか?

作画のことでいうと、iPad はアナログ感を出したい時に使うことが多くて。Macに接続する液晶タブレットよりもすごくアナログに近い感覚で描けるので、素晴らしいなと思いながら重宝していますね。

―― 今回ご出演されたMacのTV CMはクリエイター向け、なかでも若い世代に向けた内容だと思うのですが、クリエイターとして一歩踏み出したいけれど勇気が出ない、怖いと思っている人へのメッセージがあればお願いします。

そうですね……いまはそれこそMacとかを使って、個人で何かを作り出すことがすごく簡単にできるようになってるので、その一歩は踏み出しやすくなっているのかな、とはすごく感じていて。

実際に 1人でアニメーションを作るっていう人もこの数年ですごく増えましたし。なので……なんだろうな(少し考える)。難しいことを考えずに、とりあえず作ってみるのが重要なのかなとは思いますね。

たぶん最初に発表する時って、すごく緊張すると思うんです。これが多くの人に見てもらえなかったらどうしようとか、不安に思ったりすると思うんですけど、あまり最初から期待値を高くしすぎないというか、最初からもう何万リツイート行くみたいなことを強く期待するのではなくて、本当に最初は「やってみよう!」ってところから始めるのが重要なんじゃないかなと思いますね。

―― 作品を世に出すときには、自分が作りたいもの、人に評価されるもの、その両方の面があると思うのですが、藍さんはどんな配分にされてるんでしょうか。

基本的には、自分が出したいものを軸に考えています。以前 Twitter で漫画を描くことを主に活動していた時期は、すごく反応を気にしすぎてしまって、これは健康的ではないなと思ったことがありました。それ以来、基本的には自分が描きたいものを軸に考えて制作しています。

―― 話は変わりますが、いま iPhone やMac、iPad を使われていて、こんな機能が欲しい、こんな新製品が欲しい、ってことはありますか? クリエイターの方だと、iPadは12.9インチでも狭いからと二枚並べて描いているかたもいました。

それこそ、わたしはWacomの32インチの液晶タブレットを使っているんですけど、そのサイズの iPad 、同じ描き心地でそのサイズのものがあったらすごいいいな、とは思いますね(笑い)。

―― 32インチ iPad! 畳めるといいですね。

確かに(笑い)。うーん、それがあったらだいぶクリエイティブの可能性がまた広がりそうだなと思います。

―― 液晶タブレットやiPadのほかに、何かこれがないと困るというアクセサリなどはありますか

私の場合、作業はそれでほぼ完結しているのですが、デジタルだけだと欲しいニュアンスが出ないときなどはアナログで、絵の具で何かしらのテクスチャを描いたものをスキャンして取り入れたりはします。

―― いま使われているのはM1チップのMacBook Pro 14インチだそうですが、これまで使っていた機種から変化を実感した点ってありますか?

はい、やはり全体の作業効率はすごく上がりましたね。アニメーションの制作をする時って複数のソフトを開いたり、After EffectsとCLIP STUDIOみたいに交互に行き来することが多いのですが、前のMacだとなかなかそれがうまく作動しないこともあって。これに変えてからはすごくスムーズなので助かってます。あとはアニメーションの書き出しに時間がかかる部分がすごく短縮されたので、そこが大きいですね。

アニメーションの場合1 コマ 1 コマ、フレームごとに画像を書き出して映像としてつなげていくっていう作業があるんですけど、以前はそれがすごく重たくて。 3、4 分の動画を書き出しするのに 1 時間弱かかったり。重い映像だともっとかかったりしたんですけれど、それが短縮されたので、すごいありがたいですね。

―― いま新生活でどんなパソコンを買おうか悩んでいる学生さんに、藍さんのおすすめポイントがあれば教えてください。

Macは操作が身体の感覚と結びついてるというか、たとえばAfter Effectsを使うときも、ズームとか細かい作業がトラックパッドだけで完結してしまいますし。

マウスも使わなくていいし、これが本当に楽だなと思います。慣れてしまうともう他のパソコンに戻れなくなってしまったので、そこがすごくいいなと感じてますね。

―― 今回MacのキャンペーンCMにご出演が決まったときはどんなお気持ちでしたか?

本当に全部Macに頼っている生活なので、CMというかたちで逆に私が関われたことが本当に光栄で。お話が来たときは、シンプルに「やったー!」っていう(笑い)。

―― ありがとうございました!

(オンラインのグループインタビューを編集しました)