第5世代のiPad AirとMagic Keyboard。ノートPCに代わるモバイルワークステーションとして充実した使い勝手を実現している

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 アップルが新しい第5世代の「iPad Air」を発売した。オールスクリーンデザインの10.9インチLiquid Retina Displayや指紋認証センサー、そして5G対応を果たした最新のタブレットが、ビジネスシーンに最適と言える7つのポイントを解説したい。

●パフォーマンスの高さはiPad Proに肩を並べる



 現行iPadファミリーのなかで、iPad AirはフラグシップモデルのiPad Proと、エントリーモデルとなる第9世代の“無印”iPadの中間に位置付けられる。このほかに8.3インチのコンパクトサイズな第6世代のiPad miniもあるが、本機にはアップル純正のキーボードが対応していない。

 iPad Airはビジネスパーソンにとって、Apple Pencilを使って手書きのメモを取ったり、スケジュール帳やメール・メッセージによるコミュニケーション端末として使ったり、「デジタル文具的」に役立つデバイスだと筆者は考える。

 3月18日に発売された新しい第5世代のiPad Airは、約1年半ぶりのアップデートを遂げた。ディスプレイのサイズは前世代機と同じ10.9インチ。オールスクリーンデザインも継承した。アップルの自社設計によるシステムオンチップ「Apple M1」を搭載したことから、さまざまなタスク処理の速さと正確さ、安定感など全体のパフォーマンスが向上。同じM1チップを搭載するiPad Proに肩を並べた格好だ。

 第5世代のiPad Airはパフォーマンスとサイズが第3世代の11インチiPad Proに一段と近づいた。にもかかわらず、Apple Storeの販売価格を比べると、Wi-Fi+Cellularモデル、Wi-Fiモデルともに11インチのiPad Proよりも新しいiPad Airが2万円ほど安価だ。

 筆者は以下の7つのポイントから、いまビジネスパーソンがノートPCに代わるモバイルワークステーションとしてiPad Airを選ぶ意義があると考える。

 iPad Airは10.9インチというサイズ感が魅力的だ。本体の厚さは6.1mm。11インチのiPad Proに比べると、iPad AirはWi-Fiモデル同士の比較で5g、Wi-Fi+Cellularモデル同士の比較で8g軽い。ビジネスバッグに入れて軽快に持ち歩ける。リモートワークや遠方に足を運ぶ出張にノートPCを持ち運ぶ手間が、iPad Airに置き換えられれば大きく軽減される。

 ビジネスパーソンがiPadを仕事に役立てるのであれば絶対にWi-Fi+Cellularモデルを選ぶべきだ。よりセキュアなモバイルデータ通信を活用して常時モバイルネットワーク接続ができるからだ。Wi-Fi単体モデルにプラス1万8000円を投資する価値は十分にある。新しいiPad Airは5G対応だ。高速・大容量通信ができる5Gのネットワークエリアはいま国内でも着実に広がりつつある。

 iPad Airは本体側面のトップボタンにTouch ID指紋認証センサーを内蔵する。指紋を登録した指をそえると、iPadの画面ロック解除やApple Payによるオンライン電子決済などが素速くできる。現時点でiPad ProのFace IDによる顔認証システムはマスクを着けたままの状態で画面のロック解除ができない。iPad Airの方がリモートワークの仕事効率は高められるだろう。

 10.9インチのiPad Airは、11インチのiPad Proと同じ、アップル純正のMagic KeyboardやSmart Keyboard Folioが使える。どちらもiPad Airの背面にある独自のSmart Connectorと呼ばれる端子に接続すると、iPadからキーボードへの給電が自動で行われる。ほかのBluetooth接続のワイヤレスキーボードのように別途充電が要らないので、メンテナンスの手間がかからない。

 Magic KeyboardはiPad Airを装着した状態で、画面やフロントカメラの角度調整が自在にできる専用スタンドとして機能する。iPad本体の専用カバーとしてもまた1台で複数の役割をこなすアイテムだ。価格が3万円を超えるので安価なアクセサリーとは言えないが、ビジネスシーンで役立つアイテムとして、懐に余裕があるときに買い揃えたい。

 iPad Airは本体の側面に充電やデジタルデータの伝送に使うUSB-Cポートを搭載している。ポートの転送速度は第4世代のiPad Airに比べて約2倍速くなった。USBメモリーなどに保存された資料のドキュメントや写真を外部ストレージ機器からiPadに読み込んだり、デジタルカメラを直接つないで取り込める。アップル純正のUSB-C/USBアダプターを使えば、多くのUSBメモリーやUSB-HDDなどのストレージメディアにデータの読み書きができる。ぜひビジネスシーンで活用したい。

 ビジネスの定番であるMicrosoft Officeアプリケーションや、Microsoft TeamsにZoom、Google Meetのようなビデオ通話アプリは多くがiPadOSに最適化されてApp Storeに揃う。いずれのアプリも、最新のM1チップを搭載するiPad Airならば動作がとても安定していてスムーズだ。

 新しいiPad Airはフロント側カメラによるビデオ通話を開始すると、カメラが捉えた人物を常時画面の中央に映るように自動調整する「センターフレーム」機能を搭載した。iPadOS標準のFaceTimeのほか、ZoomやTeamsでも使える。フロントカメラは12MPの超広角対応なので、複数人数が並んで参加する家族どうしのビデオ通話にも最適だ。

 新旧世代のiPad Airがデザインを大きく変えなかったことで、これまでに発売されたアクセサリーが活用できる。サードパーティーのメーカーによるアクセサリー製品が多数充実していることもアップル製品の大きなアドバンテージだ。ふだんはノートPCを多少荒っぽく扱ってしまうという方は、アップル純正のMagic Keyboardをはじめ、本体をしっかりと保護できる堅牢なカバーをiPad Airに装着しよう。

 ビジネスツールとしての魅力を掘り下げるために、今回は触れなかった動画や音楽鑑賞、ゲームなどエンターテインメントに関わる機能も最新のiPad Airには充実している。7万4800円から購入できる高機能タブレットとして新しいiPad Airは注目すべきデバイスだ。(フリーライター・山本敦)