3月3日から行われる「ダイキンオーキッドレディス」で幕を開ける2022年の国内女子ツアー。だが、今年もこれまでとは大きく異なる点、注目すべきポイントが存在する。ということで「22年の女子ツアーで知っておきたいこと」を予習・復習しておこう。今回は“超大逆転シード復帰”が起こり得るかも? という話。
長かった20-21年シーズンは、賞金ランキングもしくはメルセデス・ランキング(以下MR)のいずれかで50位以内に入った選手52人が、22年のフル出場権すなわちシードを手に入れた。初シードが13人、復帰が7人となったが、それに押し出される形で権利を喪失した選手も19人にのぼった。
ただその喪失組に含まれるイ・ボミと黄アルムの韓国勢2人(※)には、まだ“大逆転”でシードを守る可能性が残されていることをご存じだろうか? ある条件を満たすことで、20-21年シーズンのシード選手として復活することができるのだ。
そのために『入国制限保障制度』というものがポイントになる。新型コロナウイルスの影響で日本へ入国できず、約束された試合数をこなせなかった海外選手への救済措置なのだが、文字通りこれに救われることになるかもしれない。
ボミは5試合、アルムは4試合が、この制度によって今季の出場試合として保障されている。ただし“自分の好きなタイミングで出場できる”というものではなく、あくまでも『開幕戦から連続して自動付与』という縛りはある。例えばその間に1試合休むと、保障自体も1試合減ってしまう。では、これがなぜ“大逆転シード復帰”の切り札になるのだろうか? もともとこの試合数は、20-21年シーズンに出られたはずの試合を保障するもの。そのため、以下のような解釈になる。
『この保障試合内で稼いだ金額・ポイントを、昨季の賞金、MRに加算した結果、それが20-21年シーズンのそれぞれのランク50位の選手を上回ることができればシードを付与する』
実例を挙げてみよう。ボミは昨季1685万2374円で賞金ランクは82位、MRは256.45ptで84位だった。昨季の賞金ランク50位だった有村智恵(3201万1751円)との差額は1515万9377円で、MR50位の宮里美香(591.01pt)との差は334.56ptとなる。この差を保障の5試合でひっくり返すことができれば、“滑り込み”でシード復活となる、というわけだ。
もちろん仮にそうなった場合でも、有村、宮里がシードを喪失するということはない。また昨季の両ランク51〜55位の範囲に入ると、前半戦出場権、すなわち“準シード”も約束される。
アルムは昨年末のQTで6位になっており、少なくとも前半戦にはフル出場できる見込みが立っているが、ボミはQTを回避したため、推薦は抜きで出場が確定しているのは現時点でこの5試合のみ。今季、さらに今後のツアー人生にとっても大事な試合になる。“一発大逆転”が起こるのか? そんなことも注目点の1つになりそうだ。
※=ペ・ヒギョン(韓国)も保障2試合が付与されているが、すでにツアー引退を表明
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