QTで来年の前半戦出場権は確保 再起をかける1年になる(撮影:福田文平)

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アマチュア時代から黄金世代をけん引してきた一人が、2020年、21年が統合されたロングシーズンで苦しんだ。ツアー通算1勝の新垣比菜は、「ショットではパーオンが少ないし、パターも入っていない。全体的によくなかったです」と不振の理由を話す。
17年にプロテスト合格。翌18年にツアー本格参戦を果たすと、同年4月の「サイバーエージェント レディス」で早々にレギュラー初優勝を挙げた。アマチュア時代の15年にはステップ・アップ・ツアーでも勝っているホープが、すぐに真価を発揮する。さらにトップ10に7度入った19年も何度か優勝争いに絡む活躍。結果的に未勝利で終わったが、ランキング27位で賞金シードはきっちり守った。だが20年に入り、プレーの精細さが影を潜めることになる。
新型コロナウイルスの影響で、20年シーズンの開幕は6月の「アース・モンダミンカップ」へと大きくずれ込んだ。そこは48位タイで終えたものの、なかなか調子が上がらない。結局その年は13試合で7度の予選落ちを喫することになる。
初のトップ10入りは、年をまたいだ21年。地元・沖縄県で2年ぶりに開催された初戦の「ダイキンオーキッドレディス」だった。ここで10位タイに入ると、続く「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフ」でも8位タイ。さらに「Tポイント×ENEOSゴルフ」で7位タイと復調の兆しも見せる。ただ再び夏場には4試合連続予選落ちと苦しい日々が訪れることに。新垣自身も、ここが最も辛い時期だったとのちに振り返ったほど、状態は落ち込んだ。
新垣にとってシーズン最終戦になった11月の「大王製紙エリエールレディスオープン」では、「今年中にシード圏内に入れたらと思ってやっていましたが、なかなか上位に入ることができませんでした」と苦しい胸のうちも明かしていた。この愛媛の大会で上位に入れば逆転シードの可能性も残されていたが、「QTに出る覚悟はできています」とすでに腹もくくっていた。
結局2日目には8位タイまで順位を上げたが、最終日に「75」をたたき40位タイという結果に終わる。賞金ランキングは64位で、メルセデス・ランキングが59位。いずれかで50位以内に入った選手が手にできたシード権を、プロ転向後初めて喪失した。
「調子が日替わりのところあるので安定させて頑張りたいです」。こんな言葉からも分かるように、猫の目状態ともいえる不安定さを拭うことはできなかった。それでも、その後迎えたQTファイナルステージは19位で通過。ここでも最終日に「76」と苦しんだが、前日までの貯金を生かし22年シーズンの前半戦にフル出場できる見込みを立てることができた。
3月から始まる新シーズンは、再起をかける1年になる。「パッティングやショットで、緊張した時に悪いところがいっぱい出る。そこを直したい。リランキングもあるので、1年間通して調子を安定させられるよう、考えて取り組みたいです」。このオフで狂いを修正し、持ち前の安定感を取り戻したい。そして新シーズンで何度も近づいた2勝目をもぎ取りにかかる。
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