親との片づけはタイプ別でスムーズに。客観的に見ることでトラブルも回避
「ものが捨てられない」といっても、その理由はひとそれぞれ違いますよね。理由が違うからこそ、実家の片づけも一苦労する場合も…。そこで、人間の心理構造“エニアグラム”を活用した「実家の片づけ術」を整理収納アドバイザーでエニアグラムお片づけ士(R)の資格をもつ、小林志保さんが教えてくれました。
自分の親のタイプを知ることで、客観的にものごとを見ることができる
私がアラフィフになる頃、私の親は病気や介護と向き合わなくてはならない年代となっていました。体力も思考力も今後落ちてくることを考えれば、今のうちにお家の中を整えておきたい。しかしながら親との片づけは、ものの片づけよりもお互いの価値観とのすり合わせから始まりました。
そこで、私が取り入れたのがエニアグラム(人間の心理構造)。今回は、ものをもっている理由を本能・感情・思考という3タイプというくくりに分けて、お片づけの進め方をご紹介します。ご自身の親がどのタイプに当てはまるか考えながら読んでみてくださいね。
●自分と親の価値観の違いを知る
自分の親と片づけを進めていると、なかなか減らそうとしない親に対してイライラしてしまったり、親の立場からしたら「ものを捨てたら?」と何度も言われることが不快に思えたり…きつい言葉でやり取りをしてしまって、雰囲気が悪いなかでお片づけをすることもあったかと思います。
そこで、自分の価値観を押しつけないためになぜ自分の親はものを持っているのだろう? なぜ減らせないのだろう? と、エニアグラム心理学から本能タイプ・感情タイプ・思考タイプに価値観をあてはめてみました。すると、些細なトラブルを避けることができたんです。
●お片づけの基本はものを減らすこと
【ものの持ち方と手放し方】
終戦後、ものがない時代を体験している世代は、ものを捨てることに対してしつけの意味でもあまりよくないこととして認識している方もいらっしゃいます。“捨てる”ということに抵抗があることで、古くからお家の中にあるものと新しく取り入れたものを減らすことなく持つことで、家の中はものだらけになってしまう場合も。
「お片づけをしよう!」と思ったらまずは「ものを減らすこと」。しかしながらお片づけが苦手な方は、まずはこの減らす行為が難しく感じてしまいます。では、なぜできないのか? じつは、人のタイプの違いからものの持ち方・手放し方の違いが出てきます。
●「なんとなく持ってる…」の本能タイプ
本能タイプは安易にものを家の中に入れがちになってしまう人。流行りのものや、新発売された商品も「欲しい!」と思ったらとりあえず買ってみる。そして気づけば部屋の中がものだらけになってしまうことが多々あります。
このタイプのご両親の場合、なんとなくものを持ってるだけなので、「今使っているものだけを残し、使っていないものは手放す。欲しくなったらまた買えばいい」などの声かけで、ものを手放すスピードがあがります。今必要なのかどうか? それがわかればものを減らせる人です。
●「思い出のものだから…」の感情タイプ
感情タイプはかわいいから、好きだから、思い出のものだから…と、ものに自分の感情を乗せる人。お片づけの現場に入ったときに包装紙やかわいい柄の箱がたくさん出てくる場合があります。
理由を聞くと「かわいいから」「主人からのプレゼントについていたリボンだから」など、ものそのものというよりは、自分の感情や自分以外の人の思いが強く感じてものを手放せないようでした。子どもがつくった作品なども捨てずに持っている方が多いので、思い出のものがいっぱい。
そんなご両親に対しては、ものをランキング化して残すものと手放すものを厳選してもらいます。思い出のものとして本当に残しておきたいのか? もう一度向き合ってもらうことが大切です。
●「捨てたら後悔するかも…」の思考タイプ
思考タイプは、もしかしたら使うかもしれない、捨てたら後悔するかもしれない…と、不安から持っている人。日本人に多いとされる思考タイプで、ものを捨てられない理由に「捨ててしまったあとに後悔したらどうしよう?」と不安な気持ちになってしまう人。ものを持つことで安心感を求めます。
このタイプのご両親の場合は「一緒に片づけるから大丈夫」と、ものを減らす判断を両親だけではなく、一緒にすることで不安が無くなりものを手放せる方向に変わることができます。
●ブラウン管テレビを手離せなかった親への対応
私の実家にはいまだにブラウン管テレビが存在しています。なぜ手放さずに持っているのかと問うと「もしかしたら使うかもしれないから」と回答が両親からかえってきました。
私の両親は不安からものを持つ思考タイプです。自宅にあるブラウン管テレビはビデオも見ることができるテレビデオ。ビデオの機能がついているから余計に「もしかしたら」と思って手放せないようです。
持っている理由がはっきりとしている場合は、無理に手放す必要はありませんが、質問をくり返すことで手放す方向が見えてきます。
・このテレビデオはいつ使う?
・ビデオテープにはなにが写っている?
・テレビ番組の録画?
・私たち家族のビデオ?
テレビ番組の録画のテープはもう見ないのでいらない。そもそもビデオテープ自体が劣化して今後見ることができなくなるかもしれない。ですから、家族が写っているものはDVDへダビングしてデータの移行をすることをすすめます。
ひと手間かけてビデオテープの必要性が無くなれば、存在していたテレビデオの家電も手放すことができます。
●親の言葉に耳を傾け「なぜ?どうして?」をくり返す
なぜ手放せないのか理由を知るためには、親の言葉に耳を傾けて理解していく必要があります。
たかが片づけではありますが、人が心身ともに健康で安全に暮らすためには片づけはとても大切な手段となります。そのためには、本人に納得してもらい、まずは使っていないものを少しずつでも見つけて、外に出すことがお片づけのスタートとなりますよ。