朱莉さん(30歳・仮名)は都内で働く会社員。デスクワークの毎日で運動不足になりやすく、太りやすいのが何よりの悩みです。

社員数が多いために、社内には常にお土産や差し入れが置いてあり、ついついお菓子に手が伸びてしまう状態。危機感を覚えた朱莉さんは足しげくヨガやピラティスに通う日々を送っていました。

外出自粛で増える食べ過ぎ、飲み過ぎ問題。あなたは大丈夫?

「常に誰かが出張に行っているので、お土産があるのはいつものこと。取引先から差し入れをもらったり、お中元などが送られてきたりするので、いつでもお菓子を食べられる環境にありました。お腹が空いて休憩室に行くと、高確率で何かが置いてあります。

だから私たち事務員は暇さえあればしょっちゅう何かを口にするので、入社歴が長くなるほど太っていく人ばかりで(笑)。社内の“ぽっちゃり率”の割合が高いんです。私も入社2年目であっという間に太りまして…。ただここ最近は、年齢も年齢だからとかなり気を付けるようにしていました。 なるべくお菓子を口にしないよう意識し、ピラティスやヨガに週1〜2回は通うようにしていました」

そんな努力もあって、入社数年で5〜6キロ太ってしまった朱莉さんも、コロナ禍前まではなんとかベスト体重をキープできていたそう。甘い物の誘惑にもだいぶ負けなくなってきた頃、ちょうど世の中では新型コロナウイルスが流行し始めたのです。

2020年3月前半は通常出社をしていたものの、社員数の多さから“密”になってしまうシチュエーションが多々見られました。このことを懸念した企業はリモートワークを導入、緊急事態宣言発令前に在宅勤務を命じられたのです。

「新型コロナって怖いなーと思っていたんですけど、今までリモートなんて考えたこともなかったので当たり前に出社していました。けど会社の指示により『もう来週には在宅勤務してください』と急に言われ、急いでパソコンを自宅へ送りました。

家で仕事に取り組めるかすごい不安だったのですが、案外やってみると平気でした。通勤の手間が省けるし、私が何より嬉しかったのはお菓子の誘惑がないこと(笑)。自宅なら自分で用意しなければ、視界に入れずに済むじゃないですか。

会社にいると必ずどこかにお菓子が置いてあるので、見るたびに食べたいよ〜って思ってしまうんです。そのストレスがないのは良かったですね」

外出自粛生活で違うストレスが…

4月中はとても快適に過ごしていた、と語る朱莉さんですが、徐々にリモート生活にも飽きてしまいます。単純作業を自宅で繰り返すのはなかなかに辛かったそうで、気分転換さえまともにできていない状況だったとか。

「事務の仕事ってデータ入力とか、とにかく作業が単調なんです。会社に居れば誰かと口を利けますけど、家だとずっと1人でパソコンと睨めっこ。それが本当に辛すぎて…。緊急事態宣言中だから通っているヨガ教室も閉まっていたんです。ストレス発散の場もなく、全然楽しくない毎日を送っていました」

その頃、朱莉さんには2年ほどお付き合いしている恋人がいたそうです。本来なら彼が心の支えとなっているはずですが、どうやらお相手は少々“難あり”だったらしく…。彼女の心を晴らしてくれることはありませんでした。

「Wくんという彼氏はいたんですけど、周りから『やめなよ』、『別れなよ』と言われるほどのダメ男くんだったんです。浮気はするし、連絡は途絶えるし、かと思ったら急に家に来たりとか…。もう別れた方がいい男の典型例みたいなタイプでしたね。けど長く付き合っちゃってたし、情もあってサヨナラもできず。よく分からない関係がだらだらと続いていたのです。

なんで彼氏なのに、こういう不安なときに傍にいてくれないんだろう、って自粛中ずっと思ってました。毎日つまらないし、本当に娯楽がなくて。

私の体重が一気に増えたのはここからです!気持ちの沈む日々が続いてたのと、今まで食欲を我慢してきた分がブワーッと溢れ出し、遂に暴食する毎日となってしまいました」

自粛で楽しみもない、彼氏も傍に居てくれない、外出も出来ない、仕事も辛い。一気に苦しみが重なり、ストレスの捌け口としてドカ食いをしてしまったそう。この衝動は一度だけではおさまらず、しばらくの間続いてしまったと言います。

「最初はヤバイ、食べ過ぎた!と我に返ったんですけど、気づいた頃には太っていた頃の食生活に元通り。それに自粛で動かないじゃないですか。そうこうしているうちにメッチャ太っちゃって、4か月くらいで15キロも太ってしまいました…。今までに見たことのない数字を叩き出して、もう自分でもビックリですよ。

普通なら10キロオーバーした時点で焦りを覚えると思うんですけど、相変わらずリモートも続いてたし、美意識もすっかり下がっちゃって。動かないから体が重いと実感する機会もなかったです(苦笑)。

放置していたらあっという間にブクブク太りました。ちょうどそんな頃、彼氏が突然家へ訪ねてくる出来事がありまして…」

彼とは緊急事態宣言からほとんど会っておらず、たまに電話が来る程度だったとか。もう付き合っているか、いないかさえわからない状況での訪問。すっかり体重が増えた朱莉さんと対面した彼氏のWさんは非常に驚いていたそうです。

太ったらフラれたなんて…

「まぁ結論から言うと、アッサリとここで振られたんです。会っていない間も浮気してたみたいですけど、いつも必ず私の元へは帰ってきたし、今まで相手から別れ話を持ち掛けられたことなどありません。

けど私が見事に大きな姿になったので、Wくんも完全に引いてました。『もう朱莉とはムリだよ、ごめん』と伝えられ、サッサと帰っていく彼を見てひとりボー然…。悲しさよりも悔しさが勝り、ここでようやくダイエットしようと決意できたのです」

苦しい毎日を送っていた朱莉さんへ追い打ちをかけるような失恋。果たして彼女は悔しさをバネに、失った美意識を取り戻せるのでしょうか?

【後編】へ続きます。