子どもの騒音「道路族」に悩み心身に影響も。袋小路の新興住宅街に後悔…
自宅にいる機会も増えている今、「道路族」が問題になっています――。
道路族とは、公道や駐車場を、まるで公園や庭のようにして遊び回り、近所に騒音などの被害をもたらす子どもたちと、その親のことを指す俗語に当たります。ESSEonlineが読者に調査したところ、最近では子どもたちによる騒音や道路占拠にとどまらない被害も報告されました。その実態とは? 道路族に悩む2人の女性にお話を聞きました。
ようやく決めたマイホームのはずが、近隣住人によって居心地の悪い空間に…(写真はイメージです)
念願のマイホーム。人生で大きな買い物がまさかの生活を脅かす存在に…。実際の生活について詳しく教えてもらいました。
小石川英子さん(仮名・40歳・専業主婦)は、5年ほど前に新興住宅地に戸建てを購入。念願のマイホームで平穏な日々を送っていた中、突然その静寂が打ち破られました。隣に引っ越してきた、小学生男子がいる20代夫婦が原因です。その母親Aさんを中心に近所の新興住宅の2〜3家族が集まるようになり、多い時では30人くらいが集まってA家の駐車場でBBQや打ち上げ花火で遊び、どんちゃん騒ぎが行われるようになったのです。
「平日は夕方になると、学童から帰ってきたやんちゃな小学生たちが道路を占拠。まるで子どもたちの庭です。土日は朝から晩まで道路におもちゃ箱を広げて遊んだり、追いかけっこをしたり。車に乗って帰ってくる私は突然飛び出してくるA家の子どもを何度もひきそうになってヒヤッとしました」(小石川さん、以下同)
GWや夏休みの時期は、A家の駐車場にビニールプールを出して朝から夕方、遅い時で21時くらいまで大騒ぎ。
「A家の駐車場だからいいという問題ではありません。駐車場で遊んでいたら興奮した子どもたちが道路に必ずはみ出てきます。それにA家の子どもとその真向いの家の子どもが互いに走って行き来しますから、私はオチオチ車に乗って外出できません。なんといっても、おもちゃによる『バンバン』という音、子どもの奇声が心臓にひびくんです。親? お喋りに夢中で、注意している様子はありませんね…」
その騒音は、小石川さんの心身をむしばむようになりました。
「私は、病気になって仕事を辞めていたのですが、昼間に療養しようとしても、窓を閉めてもうるさい。寝られなくなり、体調に支障をきたすようになりました。あまりにもひどいので、最近では子どもや親が騒ぎ出す時刻にアタリをつけ、その時間帯は実家で休ませてもらうようにしています。大金を出して買った家ではなく、外がくつろぎの場所になるとは…」
解決法として注意することも考えたものの、ご近所ゆえにトラブルに発展したらと思うとなかなか注意もできないといいます。また、引っ越したくても家を購入したばかりでローン返済までまだまだ。今の目標は1日も早くローンを完済して引っ越しをすること。そして救いは、道路族が絶対に出てこない雨の日だそうです。
もう一人の相談者の鈴木絵里さん(仮名・43歳・専業主婦)は、新興住宅が並ぶ袋小路に、小学生高学年の長男、夫と3人で暮らしています。引っ越してきた時は問題なかったのが、お隣さんの子どもが小学生に上がるかどうかという頃から、「道路族」問題に悩まされるように。
「このあたりは、徒歩5分圏内に公園や広場がいくつもある、緑に恵まれた地域なんです。にもかかわらず、親たちは子どもを道路で遊ばせ、自分たちは家の前で昼間からビールを飲んで、時にはお菓子まで食べながらおしゃべりに夢中。ボール遊びでうるさいだけでなく、お隣さんは自宅の駐車場でBBQ、プール、花火三昧。おかげで洗濯物はBBQの臭いがつき、さんざんです」(鈴木さん、以下同)
他にも、窓を開けて夜にカラオケをしたり、子どもがピンポンダッシュしたり、ひどい時には鈴木さんがたまたまカギをかけ忘れた時は家の中に構ってほしい子どもが乱入してきたりと、道路族の大胆さはとどまるところを知りません。
「見かねて注意したことがあります。1回目は、うちにお客様がいらしたときに一緒に上がりこんできた子どもに。すると子どもは逆ギレして大声で『うるせえババアだな!』と怒鳴って逃走。2回目は、BBQの煙でわが家の洗濯物が臭くなることを親御さんたちに注意。すると、『臭いが洗濯物につくことがあるんだ』みたいな顔をして驚かれ、こちらが驚きました」
鈴木さんも、小石川さんと同様、念願のマイホームを購入して数年経ったばかり。ローンが完済するまで引っ越しはできないと嘆きます。
「お隣さんですから、そう何度も注意できません。角が立ちますから。最近は子どもの声を聴くだけでパニック障害になり、お薬を処方してもらっています。出かける時もお隣さんたちがいない時間帯を見計らって出るなどして、心身や生活にかなり影響が出ています。
多分、彼らに少しでも気遣いがあればこうはなってなかったと思うんですよね。普段からコミュニケーションが取れている関係性なら、多少うるさくても見逃せるところがあるじゃないですか。私は先手で謝るタイプだけに、謝罪どころか悪気すらない彼らには嫌悪感しかわいてきません。もはや、子どももその親も、顔も見たくないし声も聴きたくない。存在自体がトラウマです」
小石川さんも鈴木さんも、最後にこう言いました。
「家を買おうとしている友人には必ずこう言います。子育て世帯が多く越してきそうな手頃な新興住宅地。それも袋小路は絶対にやめた方がいいよ、と。次に住むなら絶対に賃貸物件にします」
問題が解決するのは、騒音や迷惑行為をしている子どもたちが大きくなる頃…ではありません。自分か相手か、どちらかが引っ越しをするまで続きます。トラウマの原因となる隣人がそこにいる限り、つらい気持ちは消えないからです。
<取材・文/ESSEonline編集部>
道路族とは、公道や駐車場を、まるで公園や庭のようにして遊び回り、近所に騒音などの被害をもたらす子どもたちと、その親のことを指す俗語に当たります。ESSEonlineが読者に調査したところ、最近では子どもたちによる騒音や道路占拠にとどまらない被害も報告されました。その実態とは? 道路族に悩む2人の女性にお話を聞きました。
ようやく決めたマイホームのはずが、近隣住人によって居心地の悪い空間に…(写真はイメージです)
買った家で近隣の騒音に悩み…「道路族」の実態
念願のマイホーム。人生で大きな買い物がまさかの生活を脅かす存在に…。実際の生活について詳しく教えてもらいました。
●飛び出してくる子どもを何度もひきそうになった
小石川英子さん(仮名・40歳・専業主婦)は、5年ほど前に新興住宅地に戸建てを購入。念願のマイホームで平穏な日々を送っていた中、突然その静寂が打ち破られました。隣に引っ越してきた、小学生男子がいる20代夫婦が原因です。その母親Aさんを中心に近所の新興住宅の2〜3家族が集まるようになり、多い時では30人くらいが集まってA家の駐車場でBBQや打ち上げ花火で遊び、どんちゃん騒ぎが行われるようになったのです。
「平日は夕方になると、学童から帰ってきたやんちゃな小学生たちが道路を占拠。まるで子どもたちの庭です。土日は朝から晩まで道路におもちゃ箱を広げて遊んだり、追いかけっこをしたり。車に乗って帰ってくる私は突然飛び出してくるA家の子どもを何度もひきそうになってヒヤッとしました」(小石川さん、以下同)
GWや夏休みの時期は、A家の駐車場にビニールプールを出して朝から夕方、遅い時で21時くらいまで大騒ぎ。
「A家の駐車場だからいいという問題ではありません。駐車場で遊んでいたら興奮した子どもたちが道路に必ずはみ出てきます。それにA家の子どもとその真向いの家の子どもが互いに走って行き来しますから、私はオチオチ車に乗って外出できません。なんといっても、おもちゃによる『バンバン』という音、子どもの奇声が心臓にひびくんです。親? お喋りに夢中で、注意している様子はありませんね…」
●リラックスできる場所は、ローンを組んで買った家ではない
その騒音は、小石川さんの心身をむしばむようになりました。
「私は、病気になって仕事を辞めていたのですが、昼間に療養しようとしても、窓を閉めてもうるさい。寝られなくなり、体調に支障をきたすようになりました。あまりにもひどいので、最近では子どもや親が騒ぎ出す時刻にアタリをつけ、その時間帯は実家で休ませてもらうようにしています。大金を出して買った家ではなく、外がくつろぎの場所になるとは…」
解決法として注意することも考えたものの、ご近所ゆえにトラブルに発展したらと思うとなかなか注意もできないといいます。また、引っ越したくても家を購入したばかりでローン返済までまだまだ。今の目標は1日も早くローンを完済して引っ越しをすること。そして救いは、道路族が絶対に出てこない雨の日だそうです。
●家に乱入する子どもに注意したら「うるせえババアだな!」
もう一人の相談者の鈴木絵里さん(仮名・43歳・専業主婦)は、新興住宅が並ぶ袋小路に、小学生高学年の長男、夫と3人で暮らしています。引っ越してきた時は問題なかったのが、お隣さんの子どもが小学生に上がるかどうかという頃から、「道路族」問題に悩まされるように。
「このあたりは、徒歩5分圏内に公園や広場がいくつもある、緑に恵まれた地域なんです。にもかかわらず、親たちは子どもを道路で遊ばせ、自分たちは家の前で昼間からビールを飲んで、時にはお菓子まで食べながらおしゃべりに夢中。ボール遊びでうるさいだけでなく、お隣さんは自宅の駐車場でBBQ、プール、花火三昧。おかげで洗濯物はBBQの臭いがつき、さんざんです」(鈴木さん、以下同)
他にも、窓を開けて夜にカラオケをしたり、子どもがピンポンダッシュしたり、ひどい時には鈴木さんがたまたまカギをかけ忘れた時は家の中に構ってほしい子どもが乱入してきたりと、道路族の大胆さはとどまるところを知りません。
「見かねて注意したことがあります。1回目は、うちにお客様がいらしたときに一緒に上がりこんできた子どもに。すると子どもは逆ギレして大声で『うるせえババアだな!』と怒鳴って逃走。2回目は、BBQの煙でわが家の洗濯物が臭くなることを親御さんたちに注意。すると、『臭いが洗濯物につくことがあるんだ』みたいな顔をして驚かれ、こちらが驚きました」
●ローン完済の数十年後まで地獄は続く
鈴木さんも、小石川さんと同様、念願のマイホームを購入して数年経ったばかり。ローンが完済するまで引っ越しはできないと嘆きます。
「お隣さんですから、そう何度も注意できません。角が立ちますから。最近は子どもの声を聴くだけでパニック障害になり、お薬を処方してもらっています。出かける時もお隣さんたちがいない時間帯を見計らって出るなどして、心身や生活にかなり影響が出ています。
多分、彼らに少しでも気遣いがあればこうはなってなかったと思うんですよね。普段からコミュニケーションが取れている関係性なら、多少うるさくても見逃せるところがあるじゃないですか。私は先手で謝るタイプだけに、謝罪どころか悪気すらない彼らには嫌悪感しかわいてきません。もはや、子どももその親も、顔も見たくないし声も聴きたくない。存在自体がトラウマです」
●袋小路の新興住宅地は道路族の温床!?
小石川さんも鈴木さんも、最後にこう言いました。
「家を買おうとしている友人には必ずこう言います。子育て世帯が多く越してきそうな手頃な新興住宅地。それも袋小路は絶対にやめた方がいいよ、と。次に住むなら絶対に賃貸物件にします」
問題が解決するのは、騒音や迷惑行為をしている子どもたちが大きくなる頃…ではありません。自分か相手か、どちらかが引っ越しをするまで続きます。トラウマの原因となる隣人がそこにいる限り、つらい気持ちは消えないからです。
<取材・文/ESSEonline編集部>