圧倒的なボール保持率で攻め込んだ日本だが、なかなか南アフリカのゴールを割ることができなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 東京オリンピックの男子サッカーの初戦で、U-24日本代表は久保くんの一発によって、1対0で南アフリカになんとか勝利を収めた。本当に試合直後のベンチの表情を見ても、やれやれといった感じだったね。

 相手がチーム内でコロナ感染者が出て、数時間前まで試合ができるかどうか分からないといった状況のなかで、南アフリカは自陣に引いて割り切った戦い方を仕掛けてきた。ボール扱いもまずまず上手かったし、GKも非常にいいパフォーマンスを見せていた。

 気になったのは、東京の暑さにやられていたのが南アフリカじゃなくて、日本の選手だったということ。後半途中に守備の選手がちょっとダウン気味で、キャプテンの吉田も苦しそうだった。辛うじて勝ったのは良かったが、夏バテ気味の試合内容ではこの先が思いやられるよ。

 攻撃陣も足もとのパスばかりで、ゴール前ではシュートコースに入られて打ち切れなかったり、相手の激しさに潰されたりで、ボールは持っているけど、効果的な攻めがなかった。ここ4試合連発中だった堂安もいつもの堂安じゃなかったし、ボランチの田中もアプローチが一瞬遅れてかわされるシーンもあった。右サイドの酒井もそんなに攻撃参加に行かなかったよね。やっぱり、きつかったんだと思うよ。途中から入った相馬も抜ききれなかったしね。

 そういうなかで、南アフリカは賢い戦い方をしたと言えるよ。練習も満足にできず、慣れない気候の中で、堅守速攻という共通意識の下にしっかりとした戦略を持って試合に入った。終盤の時間帯は、日本のほうがへばっていたよ。
 
 日本としては、この南アフリカ戦でできるだけ得点を取って、得失点差でも有利に立ちたかったはずだ。しかし、1点止まりに終わったことで、次のメキシコ戦はより重要な意味を持つことになった。おそらくメキシコは勝点1でもOKという感じだろう。仮にフランスが南アフリカに2点差以上で勝って、日本がメキシコに引き分けたらフランスに勇気を与えることになるかもしれない。

 90分戦った選手は相当な疲労度だろう。メキシコ戦は日本も南アフリカを見習った方がいいかもしれないね。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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