日本代表チーム (C) JFA

写真拡大

27分にPKを突き刺すと、31分、33分とゴールを立て続けに挙げ、オナイウ阿道はハットトリックを達成した。オナイウがなぜ活躍できたのか。それはオナイウが持っている特性にあった。

大迫勇也の負傷でオナイウが追加招集されたのは6日。練習に初参加したのは8日で、この日は前日のタジキスタン戦に出たメンバーは軽めの調整、他のメンバーもコンディション調整メニューとなった。

その全体練習後、ピッチの右サイドから伊東純也、左サイドから長友佑都がクロスを上げ、中でオナイウと谷口彰悟が交互に合わせる場面があった。谷口にはボールが渡るものの、オナイウにはなかなかタイミングが合わない。伊東も長友もどこに蹴るのか迷っているような状態だった。

だがオナイウは11日のセルビア戦で代表デビューを飾ると、ポストプレーや個人技などで攻撃の起点となった。15日のキルギス戦ではオナイウに何度もクロスが合い、それがPKを含む2点に繋がった。

この適応力の高さをオナイウは所属クラブの横浜FMでも見せている。加入した2020年はシュート37本で4得点、決定率は11パーセントだった。ところが今年はシュート29本で10得点。決定率は前年比3倍の34パーセントまで上昇した。オナイウの特性と言える抜群のアダプタビリティを見せたのだ。

しかし、デビュー戦で活躍しても、代表2戦目でハットトリックを決めても本人はいたって謙虚。

「本当にチームでやってることをしっかりやったのがすべて結果に出たと思います。チームにどれだけ自分がやれているかを呼ばれたときに出せたと思うので、呼ばれたときに毎回安定して出せるように意識してチームでやりたいと思います」

これまで大迫不在の際に露呈していた問題点がオナイウの活躍で解決する可能性が見えてきた。最終予選での活躍が期待される。


【テキスト:森雅史/日本蹴球合同会社 写真:(C) JFA】