“小型除草ドローン”の動作確認をする古川原さん(右)と海津准教授(右から2人目)ら(横浜市で)

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 横浜市でトマトやエダマメなどを90アール栽培する古川原琢さん(40)は、東京大学大学院の海津裕准教授と共同で、ドローン(小型無人飛行機)の技術を使って陸上を走らせる“小型除草ドローン”の開発に取り組んでいる。飛行型の誘導システムを活用し、設定した野菜畑の畝間などのルートを自動で走らせる。雑草は独自に考案した回転刃で取り除く仕組みだ。農家の知恵と最先端技術を組み合わせた、スマート農業の実現を目指す。■横浜の古川原さんが東大と開発 古川原さんは2年ほど前、母校の海津准教授が水田用除草ロボットの製作に取り組んでいることを知り「畑用も作れないか」と相談。共同開発をスタートさせた。 重点を置いたのは、(1)少ないエネルギーで稼働(2)狭い畝間を正確に作業(3)土の凹凸に対応して確実に草を取る──の3点だ。古川原さんは「成長した草を刈るには大きな力が必要だが、農家にとって当たり前の『雑草は小さなうちに取る』ならば、少ない力で済むと考えた」と話す。 本体には、全地球衛星測位システム(GNSS)の受信機を搭載。スマートフォンから補正データを送り、位置情報の精度を高めた。後部に接続する二つの回転刃は、土の凹凸に合わせて上下左右に動くアームを採用。さらに、それぞれの刃を反対方向に回転させることで、動作の安定性も確保した。■都市型農業向けを想定 試運転には、JA横浜の営農インストラクターらも参加。普及・実用化に向けた課題を共有する他、スマート農業向け補助金制度などの情報交換も積極的に行っている。 古川原さんは小規模な畑が多い都市型農業向けを想定する。「有機農業などで夏場の草取りから解放されれば、最大2割の生産性向上が見込める。機械メーカーと協力して製品化したい」と意気込む。