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東京の大動脈といえば、JR山手線。交通利便性の高さもあいまって、部屋探しの際にはぜひとも検討したい路線だろう。よく知っているようでも、住まい選びとなると視点は変わってくるもの。そこで、ワンルーム・1K・1DKの物件を対象にした全30駅の最新の家賃相場をチェック。どんな駅があるのか、その特徴を、改めて考えてみた。山手線30駅の家賃相場が安い駅ランキング!2021年版
順位/駅名/家賃相場/(駅所在地)
1位 田端 8.50万円(北区)
1位 目白 8.50万円(豊島区)
1位 西日暮里8.50万円(荒川区)
4位 日暮里 8.60万円(荒川区・台東区)
5位 駒込 8.80万円(豊島区)
5位 高田馬場 8.80万円(新宿区)
7位 大塚 8.90万円(豊島区)
7位 池袋 8.90万円(豊島区)
9位 新大久保 9.10万円(新宿区)
9位 鶯谷 9.10万円(台東区)
11位 巣鴨 9.15万円(豊島区)
12位 大崎 9.60万円(品川区)
13位 五反田 9.90万円(品川区)
13位 高輪ゲートウェイ9.90万円(港区)
15位 品川 10.30万円(港区)
16位 目黒 10.70万円(品川区)
17位 上野 10.95万円(台東区)
18位 神田 11.00万円(千代田区)
19位 代々木 11.10万円(渋谷区)
20位 東京 11.20万円(千代田区)
21位 新宿 11.25万円(新宿区・渋谷区)
22位 田町 11.30万円(港区)
23位 秋葉原 11.40万円(千代田区)
24位 浜松町 11.65万円(港区)
25位 御徒町 11.70万円(台東区)
26位 恵比寿 12.40万円(渋谷区)
27位 有楽町 12.50万円(千代田区)
28位 新橋 12.55万円(港区)
29位 渋谷 12.80万円(渋谷区)
30位 原宿 13.50万円(渋谷区)

文学、緑豊か。都心であっても閑静な街、田端が同率1位に

1位は、山手線で唯一北区に所在する、田端駅。山手線と同じく東京の主要交通路線であるJR京浜東北線の、快速運転も停車する。

(写真/PIXTA)

山手線沿線というと都心の街並みを連想するが、田端は落ち着いた住宅街の印象が強い。5位の駒込駅との中間ほどに位置する「田端銀座商店街」は、昔ながらの下町情緒を感じることができる。

また田端は大正時代、まだ若いころの芥川龍之介や室生犀星、萩原朔太郎などの文人たちが集い、互いに刺激を受けあいながら執筆に精を出した文学の街という一面を持つ。駅北口すぐにある「田端文士村記念館」では、田端で活躍した文士や芸術家らの草稿など貴重な資料や作品が展示されており、講演会なども無料で開催されている。街中には彼らの邸宅跡の碑などが点在しており、文学ファンなら心にとどめておく価値がありそうだ。

同率1位の目白駅は、2020年の同率3位からランクアップした。学習院大学の所在地のイメージが強いが、ほかにも日本女子大学や川村学園女子大学の目白キャンパスの最寄駅で、文教地区に指定されているところも多いエリア。幼児教育などの進学塾が多いことでも知られる。

学生が多い地域であるが大きな商業施設などがなく、街の雰囲気は落ち着いていて、閑静な住宅街でもある。都会でありながら緑が多く、駅近くには大きな日本庭園の「目白庭園」がある。池の周囲を散策しながら自然に親しみ、数寄屋造りの庵では伝統文化にも親しむことができるスポットで、緑豊かな印象の一助になっている。

目白庭園(写真/PIXTA)

せっかく山手線沿線に住むならとにかく繁華街に住みたい、という人にとっても、意外だが目白はチェックしておきたい駅。東京の主要繁華街といえば渋谷、新宿、池袋。この中で7位の池袋駅だけが10万円を切る価格でねらい目といえそうだが、目白はその池袋とは隣駅で、駅間距離は1.5km弱。物件の場所によっては、両駅とも利用可能だろう。目白寄りのエリアで部屋を探してより家賃を抑え、穏やかな住宅環境とにぎやかな繁華街の両方を楽しむ、という工夫もしてみたい。

変化する街も見逃せない

13位の五反田駅は、東急池上線、都営地下鉄浅草線が乗り入れている。かつては歓楽街のイメージがあったが、近年はITベンチャーの街としての側面を強めている。

これまでITベンチャーやスタートアップの進出地といえば渋谷がよく知られていたが、小規模オフィスの家賃の高騰などから五反田に注目が集まった。その先陣を切った有力なITベンチャーらが協力して2018年には「一般社団法人五反田バレー」を設立、五反田や品川区など地域の活性化につながる事業も行っている。変化する街の雰囲気をリアルに体験できるのは、魅力といえるだろう。

2020年春には、JRの駅に直結した商業施設「アトレ五反田2」「JR東日本ホテルメッツ 五反田」が開業。東急線に直結した商業施設も「五反田東急スクエア」に改称し、新たな専門店業態になった。また、かつてはバレエ公演の一大拠点であり2015年に閉館したゆうぽうとホールの跡地に、地上21階建ての高層複合ビルが2023年以降開業予定。五反田エリア唯一の高層階ホテルになるほか、文化公演からビジネスまで利用できるホールも入る予定で、街並み自体も変わりつつある。

高輪ゲートウェイ駅(写真/PIXTA)

2020年3月に49年ぶりに山手線に開業した新駅、高輪ゲートウェイ駅は五反田と同率の13位だった。港区に所在する駅では最高位のランクイン。世界へ向けた国際拠点として再開発がすすむ品川エリアの象徴である駅だが、街の本開業は2024年ごろの予定で、周辺はまだ開発の真っ只中。新型コロナウイルスの影響もあり、街を楽しむ……というのはまだ少し先のことになりそうだが、その分、期待が募るとも言えそうだ。

人々が生活する以上、街も建物も変わりゆくもの。しかしその中でも、大事に守られ継がれ
てきたものもある。大都市・東京は移り変わりのスピードも速いが、部屋探しの際には、変わるものと変わらないもの、その未来を見越して決めることも大切なように思う。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている山手線沿線の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上〜40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2020/9〜2020/11
家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円〜18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
(鈴木千春)