by Marco Verch Professional Photographer

Amazonプライムに加入している人の中には、解約しようとしたのにいつの間にかうまく引き留められてしまった経験がある人も少なくないはず。ノルウェーの政府系消費者保護機関であるNorwegian Consumer Council(ノルウェー消費者協議会)が2021年1月14日に、「AmazonはAmazonプライムの会員が退会するのを不当に阻止しており法律に抵触している」との声明を発表。これを受けて、ヨーロッパやアメリカの16の消費者団体がAmazonに対する訴訟を起こしました。

Amazon manipulates customers to stay subscribed - Forbrukerrådet : Forbrukerrådet

https://www.forbrukerradet.no/news-in-english/amazon-manipulates-customers-to-stay-subscribed/

Consumer Groups Target Amazon Prime’s Cancellation Process - The New York Times

https://www.nytimes.com/2021/01/14/world/europe/amazon-prime-cancellation-complaint.html

Can’t figure out how to end your Amazon Prime sub? These complaints could help… | TechCrunch

https://techcrunch.com/2021/01/14/cant-figure-out-how-to-end-your-amazon-prime-sub-these-complaints-could-help/

以下は、ノルウェー消費者協議会がAmazonプライムの解約しづらさを皮肉って作成したムービーです。

How Amazon manipulates customers to stay subscribed - YouTube

あるAmazonプライムの会員が、退会のためにAmazonのサイトにアクセスしています。まずはメニューを開いてから「アカウントサービス」を選択します。



スムーズだったのはここまで。解約するには、似たような項目が並ぶメニューから「プライム会員情報の設定・変更」を探さなくてはなりません。



次に、一番目立つオレンジ色のボタン……ではなく、グレーの文字で目立たないように表示されている「資格情報の管理」をクリック。



自動更新に関する通知設定などが表示されますが、「会員資格を終了する」をクリックします。



すると、Amazonプライム・ビデオなどの会員特典が延々と表示されるので、下までスクロールします。



3つ並んだオレンジ色のボタンの中から、「特典を終了させる」を選択。



「年払いに切り替えると36.8ドル(約3818円)もお得です」と引き留めるためのうたい文句が表示されますが、無視して下までスクロール。



またオレンジ色のボタンが3つ出現。もう一度「解約を続ける」をクリックします。



またまたオレンジ色のボタンが3つ表示されますが、今度はどれも不正解。スクロールして……



「今すぐ解約」をクリック。



これでやっとAmazonプライムを解約することができました。



ノルウェー消費者協議会が実施した(PDFファイル)調査によると、ノルウェーの消費者の4人に1人が「会員制有料サービスの解約方法は分かりにくい」と答えているそうです。

6回も画面が遷移するAmazonプライムの解約手続きについて、ノルウェー消費者協議会は「Amazonプライムの解約を試みた多くの消費者が複雑なナビゲーションメニュー・紛らわしい表現・分かりにくい選択肢・余計な提案など、数々のハードルに直面しています」と指摘。必要以上に複雑で分かりにくい手続きを踏ませるダークパターンに該当していると非難しています。

ノルウェー消費者協議会のデジタルサービス担当責任者であるFinn Lützow-Holm Myrstad氏は、発表声明の中で「有料会員に加入する時と同様に、解約する時の操作も簡単でなければなりません。退会を希望する消費者を惑わす現状の商慣行は、消費者の期待と信頼を裏切っているだけでなく、法律にも違反しています」と述べました。

ノルウェー消費者協議会によると、この発表を受けてヨーロッパとアメリカの16の消費者団体が、Amazonを相手にした法的手続きに踏み切っているそうです。



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アメリカの消費者団体・Public Citizenでデジタル権利プログラムの責任者を務めるBurcu Kilic氏は、「Amazonは消費者の決意をくじくことに関心を払うぐらいなら、消費者に敬意を払うべきです」と述べました。同団体は連邦取引委員会(FTC)に対して、Amazonが法規違反を犯していないかを調査するよう書簡で要請しているとのことです。

こうした動きに対し、Amazonは「Amazonプライムでは、会員がたった数回のクリックや電話だけで、いつでも解約できるようになっています。お客様からの信頼は、当社のすべての商品やサービスの要であり、当社の解約プロセスが不公平であるとか、不確実であるとかいう主張は却下します」との声明を発表し、嫌疑を否定する姿勢を鮮明に打ち出しました。