契約更改交渉後の会見に臨んだオリックス・山本由伸(球団提供)

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◆ イチロー以来!高卒5年目年俸が1億を突破

 オリックスの契約更改が15日に行われ、4年目の山本由伸投手が6000万円増の1億5000万円で更改した。

 高卒5年目での年俸が1億円を突破するのは、オリックスではイチロー以来。2年連続の最優秀防御率は逃したが、奪三振数はリーグトップで、2年連続してタイトルを獲得した山本は「1年を通してまだやったことがないので、いろんなところを見詰め直して1年間、絶好調で行きたい」と、さらなるレベルアップを誓った。

 宮崎・都城高からドラフト4位で入団し、2017年の年俸500万円からスタートした山本。「800万円」→「4000万円」→「9000万円」とトントン拍子に増額してきた。今季の成績は18試合に登板して8勝4敗、149奪三振、勝率.667、防御率2.20。アップ率に関心が集まったが、「倍増はいかずというところ」と説明し、5年目の年俸では1億6000万円のイチローには届かなかったようだ。

 「球団からは、しっかり投げてくれたことに関して評価をしてもらい、来季も頑張るという気持ちになった」と話した山本だが、すっきりとした気持ちで胸を張れないのがシーズン終盤での離脱だ。防御率、奪三振数共にトップで迎えた10月21日、疲労を取るという理由で選手登録を抹消され、その後は登板機会がないままシーズンを終えてしまった。

 「最後に離脱してしまったので、球団からも来季は1年を通して頑張ってほしいと言われた」という。常に上のレベルを目指し、ブレることなく取り組んで来た山本だけに「改善点はいくつもある。しっかりと徹底していけたら余裕を持って投げることが出来る」と、レベルアップの道筋は見えている。

◆ 奪三振能力の向上に手応え

 今季の成長ぶりを示したのが、投球回数126回2/3での149奪三振。日本人選手最長の24イニング連続三振も記録した。この三振数の多さは、昨年オフから徹底して取り組んでいる体重移動改善の効果だという。「ストレートの強さや伸びが増し、昨年まではなかったストレートで三振が取れるようになって、変化球も有効になった」と自己分析した。

 終盤の離脱により、ソフトバンクの千賀滉大に防御率のタイトルを譲り、奪三振では並ばれたことについて、「悔しい気持ちはあるが、千賀さんという投手がいかにすごいかが分かった。投げ合って楽しく、自然とワクワクするという感覚になる、お互いにレベルアップした上で勝負が出来たら」と、偉大な投手との投げ合いが刺激となり自分を高めることにつながったことに感謝した。

 来季の目標は、好不調の波を少なくすること。「いい投手は毎試合、いい投球をするが、僕はまだ波がある。調子のいいところで小さな波で調子をキープしていきたい」。山岡泰輔投手と並ぶエースの自覚が、オリックスを長期低迷から救ってくれるはずだ。

 野手では、9年目の安達了一内野手が現状維持の9000万円で更改。プロ入り10年目の節目となる来季の目標は「個人の数字よりチームが勝つためにやるだけ。若い選手が自分をはねのけてレギュラーになってくれれば、チームはもっと強くなる」と、若手選手の飛躍を待望した。また、5年目の小田裕也外野は300万円減の2100万円でサインしている。

文=北野正樹(きたの・まさき)