奈良公園で撮影された、幻想的な鹿たちの写真がツイッターで注目を集めている。

早速、投稿をご覧いただこう。

こちらは、ツイッターユーザーのしかC(@igufoto)さんが2020年10月27日に投稿したツイート。

3枚の写真には、それぞれ鹿が映っている。秋らしく色づいた木の下で、白っぽい光を受けて、鹿自身もうっすらと発光しているかのようだ。

まるで絵本のワンシーンかのようなこれらの写真に対して、ツイッターでは

「奈良公園って異世界やったんか。ってくらい綺麗」「妖精のようで可愛くて神秘的ですね」「息を飲む美しさ、ってこういうことかも」

など感動の声が寄せられ、ジブリ映画「もののけ姫」や、ディズニー映画「バンビ」の世界のようだ、と感じる人もいた。

Jタウンネット編集部は30日、投稿者のしかCさんにこの季節の奈良公園と鹿たちの魅力を聞いた。

美しい風景の中でマイペースにもぐもぐ


秋の奈良公園と鹿(しかCさんのツイートより)

投稿者のしかCさんは、大阪府出身で奈良県在住。

初めは奈良の風景が好きで、いろいろな場所の写真を撮っていたが、奈良公園の鹿の魅力に気付いてからは「風景の中に鹿がいないと撮る気にならない程になってしまいました」というほど鹿に夢中に。

毎日好きな時に鹿の写真を撮りたいがために、2年前に奈良に移住したという。

様々な季節の奈良公園と鹿たちを見てきたしかCさんによると、これからの季節、木々の紅葉がさらに進み、奈良公園はどんどん美しくなっていくという。

「飛火野のナンキンハゼ、大仏池の大銀杏、水谷茶屋の紅葉の絨毯、その他名所だらけですが、その色づいた美しい風景の中でも鹿は下を向いて芝やどんぐりを食べ続けており、人間が勝手に感じ入る秋の移ろいや世界遺産などは無関係とばかりにマイペースに過ごしている鹿がとにかく愛おしいです」(しかCさん)

確かに、写真の鹿たちはカメラすら気にすることなく、のんびりと時間を過ごしているように見える。


物語が始まりそう(しかCさんのツイートより)

今回の投稿の写真は全て、27日の早朝に撮影したもの。

「うっすら立ち込める早朝の霧とそこに差し込む太陽の光、さらにこの時期特有の色づき始めたナンキンハゼとの組み合わせで鹿を出来る限り美しく撮ろうとこだわっています」

としかCさん。撮影テクニックや、撮影後の色の微調整などにもこだわり、象徴的・印象的な構図になるように意識しているそうだ。


神々しい...(しかCさんのツイートより)

もちろん、奈良公園とそこにいる鹿たちが魅力的なのは秋だけの話ではない。

しかCさんによると、鹿たちの顔や佇まいは妙に哲学的で、「勝手に人がいろいろ想像する余地」を与えてくれるという。

「本当はただ『お腹へったな』とか思っているだけの鹿がそこに立っているだけなのに、それを1枚の写真にするだけで物語が始まるような気がしてきます。
また、奈良公園に訪れる人間と鹿の奇妙な関係性もとても魅力的です。 鹿にとってみると、人間は怖いけど餌もくれる不思議な存在で、日々の暮らしにおいて人間の影響力はかなり大きそうです」

人間とかなり近い距離で暮らしているが、あくまで野生動物である奈良公園の鹿たち。そのなんとも言えない距離感が、どこか神秘的な雰囲気を醸し出しているのかもしれない。