ルミナスクルーズが運航していた神戸港クルーズ船「ルミナス神戸2」(2020年3月撮影)(株式会社帝国データバンク)

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長引く新型コロナウイルスの影響で需要見通しがつかず運休が続いていた

 3月2日に民事再生法の適用を申請し、5月14日に再生手続き開始決定を受けていたルミナスクルーズ(株)(TDB企業コード:530595525、資本金1000万円、兵庫県神戸市中央区波止場町5-6、登記面=兵庫県神戸市北区青葉台15-12、代表熊野幸三氏)は、9月23日付で神戸地裁より再生手続き廃止決定および保全管理命令を受けた。

 代理人は小野法隆弁護士(兵庫県神戸市中央区京町80、弁護士法人東町法律事務所、電話078-392-3100)ほか4名。保全管理人には監督委員だった長谷部信一弁護士(兵庫県神戸市中央区東川崎町1-1-3、神陵法律事務所、電話078-366-0100)が選任されている。

 当社は、1985年(昭和60年)2月に人材派遣および保険代理業を目的に千扇興産(株)の商号で設立。その後、2008年1月に現商号へ変更し、同年6月には関係会社のルミナス観光(株)〈現・(株)仁志興業、同所、同代表清算人、2008年6月解散〉から吸収分割により観光クルーズ船運航事業を引き継いだ。定員1000名の大型レストランシップとして神戸中突堤を発着点に、神戸港・大阪湾・明石海峡クルーズのほかランチ・ディナー・ブライダルなどの観光クルーズを運航し、ピークとなる2009年5月期には年収入高約11億円を計上していた。

 しかし、2018年6月の大阪府北部地震、同年7月の豪雨、9月の台風21号をはじめ、翌2019年も台風など自然災害による運航中止が相次ぎ、2019年5月期の年収入高は約8億6900万円にとどまり、燃料費高騰の影響もあって収益が悪化し、資金繰りがひっ迫。今年1月以降は新型コロナウイルスの余波で多数のキャンセルが発生したことで自主再建を断念、裁判所管理下での再建を選択していた。

クルーズ船「ルミナス神戸2」は年内に運航再開予定

 再生手続きにおいて同じく神戸港を拠点とするクルーズ船「コンチェルト」を保有するファースト・パシフィック・キャピタル(有)(TDB企業コード:987399248、東京都目黒区)をスポンサーとして支援を受け、消費者保護施策などを行う一方、早期運航再開を目指していたが、長引く新型コロナウイルスの影響で需要見通しがつかず運休を続けていた。このため、「ルミナス神戸2」を上記スポンサー企業に売却するなどしたが、当社としての再生計画立案のための資金繰りがつかず、神戸地裁による再生手続き廃止決定および保全管理命令を受け、破産手続きに移行する予定となった。

 なお、債権者向け説明会は10月4日および5日に神戸市内にて開催、債権者へは個別に案内がなされるとのことである。

 負債は民事再生申請時点で約12億4300万円だが、変動している可能性がある。

 クルーズ船「ルミナス神戸2」は、年内に上記スポンサー企業関連会社のもとで運航を再開する予定で調整中。