新型「ハリアー」は6月17日に発売。価格は299万円〜504万円(写真:トヨタ自動車

クロスオーバーSUVのジャンルに高級車のテイストを盛り込み、大ヒット車種となったトヨタ「ハリアー」。現在ではスーパーカーメーカーや超高級車メーカーもクロスオーバーSUVを生産、販売するようになったことからも、そのジャンルでの先駆者であることは疑いようもない。

そんなハリアーが、今年の6月にフルモデルチェンジを果たし、4世代目へと進化した。


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高級クロスオーバーSUVの名にふさわしいクオリティを持ち合わせながら、299万円からという手頃な価格も魅力的なモデルだ。

しかし、その一方で最も高価なモデルは504万円と、同一車種ながら価格差は大きい。では、ハリアーを購入するなら、どのグレードがベストバイなのだろうか。

ターボは廃止に。ハイブリッドの2WD登場がトピック

先代型では2.0リッターのガソリンエンジン2種類(自然吸気、ターボ)と2.5リッターのハイブリッドという3種類のパワートレインを持っていたが、新型では2.0リッターターボが廃止され、2リッターガソリンと2.5リッターハイブリッドの2種類となった。

どちらも排気量こそ不変だが、新世代のダイナミックフォースエンジンへと進化を果たしており、出力が向上。先代よりも軽量となったボディと相まって、走行性能は大きく向上している。


基本構造は新たにTNGAプラットフォーム(GA-K)を採用(トヨタ自動車

駆動方式は、FF(前輪駆動)と4WDがあるが、先代モデルでは電気式4WDの「E-Four」のみだったハイブリッドに2WDモデルが追加されたのは、大きなトピックだ。

その結果、最もベーシックなハイブリッドモデルの価格は26万円ほど下がり、「ハイブリッドは気になるけど4WDは不要」と考える都市部のユーザーにとって、買いやすくなったと言えるだろう。

グレード展開は、先代のややわかりにくかった「エレガンス」や「プログレス」といった名称から、ほかのトヨタ車に準じたアルファベットのものへと変更された。

最もベーシックな「S」から始まり、必要な装備が充実した「G」、そして上級グレードとなる「Z」という3グレードが基本となり、GとZには本革シートが備わる「Leather Package」が用意され、全部で5グレード展開となる。

S、G、Z、それぞれにガソリンとハイブリッド、そして2WDと4WDが用意されるので、20通りの中から選択することになるわけだ。なお、ガソリンとハイブリッドの価格差は2WDで59万円、4WDで61万円、2WDと4WDの価格差はガソリンで20万円、ハイブリッドで22万円となっている。

ハリアーを狙う場合、どのグレードをチョイスするのがベストなのだろうか。やはり気になるのは、車両本体価格が300万円を切る最もベーシックなS(ガソリン・2WD)だろう。ひとつ上のGに比べて42万円も安価(エンジン、駆動方式問わず)なのは非常に魅力的だ。

もちろん、パワートレインはグレード間で差はないし、LEDヘッドランプやディスプレイオーディオなど、必要な装備も備わっているから、手ごろな価格でハリアーの走りを楽しむには十分と言える。

ただし、アルミホイールは上位グレードが18〜19インチを採用する中、17インチとなるし、エクステリアを華やかにするメッキガーニッシュも省略。インテリアも、加飾が一切省かれたブラック単色仕様となり、メーターに備わるマルチインフォメーションディスプレイも7インチから4.2インチになる。


インパネにつくパイピングオーナメントもSでは非装備となる(写真:トヨタ自動車

機能面では十分でも、見た目がかなりシンプルになってしまうのだ。また、ハリアーの目玉アイテムの1つであるデジタルインナーミラー(前後方録画機能付き)も付かない。

アフターパーツなどでドレスアップを考えているユーザーならいいが、もし、カタログ写真のイメージでSを購入しようと考えているのであれば、できれば実車を確認してから購入したい。

一方の最上級グレードとなるZは、中間モデルのGに対して52万円高となるが、Gではメーカーオプションとなる、リアクロストラフィックオートブレーキ+ブラインドスポットモニター(6万8200円)と、T-Connect SDナビゲーションシステム+JBLプレミアムサウンドシステム(36万9600円)が標準装備となるため、実質的な価格差は8万2200円となる。

その差額でホイールが19インチへと1インチアップ、ロングタイプLEDハイマウントストップランプ付きカラードルーフスポイラー、イルミネーション付きステンレススカッフプレート、ステンレス製デッキサイド・リアフィニッシュなど、ハリアーをより上質に魅せてくれる装備がプラスされる。

また、調光パノラマルーフやパノラミックビューモニターはZのみに設定されるメーカーオプションとなるため、これらの装備が欲しい人は必然的にGを選択することになる。

なお、GとZに用意されるLeather Packageは、ベースにプラス30万円で、シートヒーターとシートベンチレーションが備わる本革シートが装着される。シートヒーター&ベンチレーションは標準シートには備わらない機能なので魅力的ではあるが、本革シートとセットとなるため高価なのが悩ましいところ。

ハリアーに求めるもので自ずと選択は決まってくる

これらの情報を総合すると、なるべく安くハリアーを楽しみたいと考えている人はS、逆に「せっかくだからハリアーらしい充実した装備を味わいたい」と考えている人にはZがベストと言える。

また、手ごろな価格でハリアーらしい走りと内外装が欲しいと考える人にとっては、Gの買い得感も魅力的に映るだろう。ハリアーに求めるものは人それぞれだ。3つのグレードは、ハリアーに求めるものに応じて、それぞれにピッタリ合うような設定になっているのだ。