マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界第三十一回 エースコック「シュリンプヌードル」シリーズ 文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする連載の第三十一回目となる今回は、エースコックから東北限定で発売されている、「シュリンプヌードル」、「カレーヌードル」、「煮干しヌードル」の3品を紹介します。

「シュリンプヌードル」と「カレーヌードル」は、エースコックの最も古いカップ麺です。

左から「カレーヌードル」、「シュリンプヌードル」、「煮干しヌードル」

1973年に製造開始

エースコックのシュリンプヌードルとカレーヌードルは、1973年に製造開始された、エースコックで最初のカップ麺です。世界初のカップ麺である「カップヌードル」が1971年に製造開始なので、そのわずか2年後。そしてカレーヌードルは他社に先駆け、カップ麺初のカレー味の商品として登場しました。

発売当初は全国発売されていましたが、現在は東北6県のみで発売されています。そして過去には「海しおヌードル」や「辛みそヌードル」がラインナップされていましたが、現在は「煮干しヌードル」が第3のシュリンプヌードルシリーズとして販売されています。

パッケージに描かれた東北6県のご当地キャラクター

東北限定の商品らしく、パッケージには東北6県のご当地キャラクターが描かれています。味にはまったく東北感ないですが、このパッケージを見るとなんとなく東北に旅行に行った気分になれるかもしれません。

カップヌードルと食べ比べてみた

今回は、シュリンプヌードルとカップヌードルを食べ比べていこうと思います。

(左)シュリンプヌードルと(右)カップヌードル

まずはシュリンプヌードルから食べていきます。先に発売されて大ヒット商品となったカップヌードルと味が被っており、後追いした商品と言えるかもしれません。

カップヌードルの定価が税別193円なのに対し、シュリンプヌードルは同170円でちょっと安価。麺量が65グラムに対し50グラムと少なめとなっています。

安価版カップヌードルといったイメージが漂いますが、食べてみると異なったイメージが得られるでしょうか。

同じエビ入り醤油味でも大きな違いが

具のボリュームに差がある

両者で明らかに違うのはボリューム。麺量の違いだけではなく、具のボリュームも明らかに違います。

肉やたまごの量に大きな違いがあり、ボリューム感は価格以上に差があるように思います。エビの差は価格差相応ですが、大ぶりなカップヌードルエビの方が存在感も食べ応えも大きいです。

カップヌードルの魅力のひとつとして、麺がスープをどんどん吸っていき、麺とスープが渾然一体化することがありますが、シュリンプヌードルの麺はそこまでスープを吸わず、一般的なカップ麺と同様にスープが残ります。

また、カップヌードルのスープは麺や謎肉から溶け出す成分によってスナック感満載の味になるのに対し、シュリンプヌードルは比較的すっきりした醤油味で、それゆえに具から出るエビの風味も多少感じられました。

カップヌードルの雑然とした味が苦手な方にとっては良い味かもしれません。

カレー味も食べ比べてみた

(左)カレーヌードルと(右)カップヌードルカレー

続いてはカレーヌードル。こちらは、世界初のカレー味のカップ麺です。同じく1973年発売の「カップヌードルカレー」とキャラが被りますが、今回はエースコックが先んじています。

シュリンプヌードルと同じように定価は安価ですが、麺量は50グラムでカップヌードルカレーより10グラム少なくなっています。

カレーヌードルには固形ルゥが入っている

カレーヌードルには、固形状のルゥが入っているのが大きな特徴となっています。現在では、「日清カレーメシ」でも固形状のルゥが用いられていますが、カップ麺でこの形状はかなりインパクトがあります。

控えめな味のカレーヌードル

(左)カレーヌードルと(右)カップヌードルカレー

ボリュームには価格差以上に大きな開きがあり、麺量だけではなく、肉やポテトの量にだいぶ違いがあります。

肉やポテトの旨みがスープに溶け込むことでいっそうおいしくなるため、具の性能の違いが戦力の決定的な差になってしまいかねません。

カップヌードルカレーは、麺がスープを大量に吸うことで両者が一体化。強いとろみのついたスープの中で、肉やポテトの旨みに加え、玉ねぎの風味が強く感じられるのが特徴となっています。

一方のカレーヌードルは、スープのとろみが控えめで、濃厚さもカップヌードルほどではありません。純粋にカレースパイスの味が楽しめますが、カップヌードルカレーの押しの強さに慣れていると、少し物足りない味だと感じてしまうかもしれません。

煮干しヌードルはやさしい味

煮干しヌードル

最後に煮干しヌードルを食べます。煮干しもシーフードなので、カップヌードルで対応するのは「シーフードヌードル」でしょうが、明らかに別物です。

煮干しヌードルは2017年に初登場した商品なので、1973年に発売されたシュリンプヌードルとカレーヌードルに比べると歴史はありませんが、以前は「海しおヌードル」というシーフードを思わせる商品が出ていました。

お麩やナルトが入っている

ほのかに煮干しが香る醤油味で、やさしい味わい。カップヌードルにはないタイプのあっさり味です。お麩やナルトが入っているのもカップヌードルには見られない特徴。

他の2商品も含めて実際にカロリーや塩分が低く、カップヌードルに比べるとダイエットしている方やお子様にも食べやすい仕様と言えそうです。

エースコックの元祖の味、東北で親しまれる味

エースコック初のカップ麺であり、今は東北で親しまれている「シュリンプヌードル」シリーズの3品は、カップヌードルシリーズに比べると味の強さや量が物足りない反面、安い価格設定で、カロリーや塩分が控えめで、ダイエットやお子様に向いた商品と言えそうです。

味も売上もホームラン打者が並ぶカップヌードルシリーズに比べると、シュリンプヌードルシリーズは単打でつなぐいぶし銀的なラインナップで、少し地味に映るかもしれません。

ですが、エースコック初のカップ麺であることや、カレーヌードルはカレー味カップ麺の元祖であること、さらには東北で親しまれているカップ麺だということに思いを馳せながら食べることで、味わい深さが2倍、3倍に膨れ上がると思います。

なかなか手に入らないとは思いますが、ご当地フェアやネット通販で手に入れることができるので、機会があればぜひどうぞ。

筆者:オサーンカップ麺ブロガー。十数年前に出会った「日清麺職人」のおいしさに感激したことがきっかけでブログを開設。「カップ麺をひたすら食いまくるブログ」で毎週発売される新商品を食べて毎日レビューしています。豚骨スープとノンフライ麺の組み合わせがお気に入りですが、実はスープにごはんを入れて食べるのが最も至福の時です。Twitter(@ossern)