徐々に学校を再開する動きも。今、子どもたちとどう向き合えばよいのか(写真:yongshan/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大で、特定警戒地域では小中学校の休校が続いています。家にこもらざるをえない子どもと、在宅で仕事を抱えるパパ&ママのストレスはもう限界。

まだ続く、そして再発の際の備えに、「Stay Home」でどう子どもたちと向き合えばよいのか、発達心理学の専門家で明星大学教授の星山麻木先生にお話を聞きました。今回のテーマは、「目の前のライフスタイルすべてが学びになる」です。

学び方は自由だから 学校再開後の学び方も変わる!

星山先生:学校再開後は、きっと規則正しい時間割のとおりに子どもたちの学びは進んでいきます。しかし、与えられた時間の中で学び方は自由ですから、今までの学び方とは異なります。学校が示す時間割は、集団の学び場の中の土台としては重要ですが、学習する方法は極めて柔軟になったのです。


当記事は、Domani(ドマーニ)公式ウェブサイトの提供記事です

この柔軟な学び方については、以前から教育先進国であるヨーロッパや北欧で取り入れられてきた学びのスタイルです。

やらなければいけないもの(文部科学省が指定する学習要項)はありますが、学ぶ過程でさまざまな工夫をすることは自由ですから、今回得た「うちの子らしい学び方」を採用すればよいのです。そして、このコロナ禍で家にいる間が、うちの子らしい自由な学びのスタイルを定着させるまたとないチャンスともいえます。

星山先生:「親子で生命のあるものを育てる」こともおすすめです。植物の種をまくことや、小さな動物を飼うのもいいです。ひとつの命を育む過程を親子で一緒に共有するだけでさまざまな学びになります。

また、子どもに“今夜のご飯”を任せてみるのもよいでしょう。どんな材料が必要か調べて調理し、後片付けやゴミ出しなども経験させたいところです。親御さんが「こうしなさい」と指示するのではなく、一緒に考え、体験しましょう。

低学年の生活科や高学年の総合などで学ぶ内容は、今のライフスタイルそのものです。こういう状況ではどのようにすればよいのか、優先順位はどちらかを体験を通して総合的に学んでいくことができます。これは、ある意味では“学びのあるべき姿”だと思います。

学びもコミュニケーションもオンライン化が加速

星山先生:今回の件では、大人の働く現場でもオンライン化が進みました。子どもの社会も例外ではありません。自宅に、子どもが使えるパソコンやタブレット、通信環境が備わっているどうかが重要になってきます。また、パソコンやアプリケーションをいかに使いこなせるかが学習保障とリンクしていますから、学力格差という意味でいうと、パソコンやタブレットがあるかないかで大きな差を生んでしまうかもしれません。

そして、今、子どもたちにとっていちばん必要なことは、お友だちとのつながりや仲間づくりだと思います。学校再開の準備として、ZoomやSkypeなどのオンライン環境を、周囲の大人が技術的にサポートして、友だちや仲間とのつながりを確保してあげることで、学校再開後の人間関係がスムーズになるのではないでしょうか。

お互いの家を行き来できない、大勢で集まることのできない今だからこそ、今だからできること、楽しみ方を見いだして、新しいコミュニケーションツールや、新しい学び方、新しい家族のあり方を考え出していくこと。これからのキーワードは「新しさ」なのです。

(取材・文/保坂宏美)

星山麻木(ほしやま まき)/明星大学教育学部教授。保健学博士。一般社団法人星と虹色なこどもたち設立。一般社団法人こども家族早期発達支援学会会長。日本音楽療法学会認定音楽療法士。PLAYFUNミュージックムーブメント ボーネルンドから親子遊びをYouTubeで配信中。発達サポーター講座オンラインも始まります! 詳しくは(星山研究スタジオ)