頼仁氏と、ともに取材に応じた母・君子さん

 3月24日、愛知県庁で、政治団体の起ち上げ会見が開かれた。その名も「愛地球党」。代表で、化粧品会社社長の小澤頼仁氏(43)は、じつはお笑いコンビ「スピードワゴン」の小沢一敬(46)の実弟だ。

 だが、兄は政治団体の起ち上げを一切知らず、7年以上会話もしていないという……。

「『話したいことがある』と伝えようと思って、電話をかけたが繋がらなかった。折り返しは来ていません」(頼仁氏)

 兄弟のあいだに、なにがあったのか。愛知県東海市にある「愛地球党」事務所で、頼仁氏がインタビューに応じてくれた。

「僕は2006年に会社を設立して、2011年の東日本大震災では、支援物資を現地に届けたりしてきました。化粧品会社といっても、近年は “心の病” を治すために、電磁波を軽減させる商品なども売っています」

 記者が「スピリチュアルな話ですか?」と聞くと、「違います」と否定しつつ、続けた。

「2012年からは、ヒーリング活動も始めました。“手技” によるヒーリング治療です。話を聞けば、その人の体の悪いところがわかる。それを僕の手で “取って” よくします。

 今では病気だけでなく、人間関係や生き方、仕事の相談なども受けるようになりました。そこでわかったのが、『地球環境がよくならない限り、本当の意味で、人は健康になれない』ということだったんです」

 そのために2020年2月、「政治の世界に飛び込むことを決めた」と頼仁氏は話す。「愛地球党」が掲げる、おもな政策は以下の4つだ。

(1)国会議員を半数、議員給与を半額にして社会福祉費に充てる
(2)教育やメディアの改革を進める
(3)医療、農業、自衛隊などの社会改革を図る
(4)最終的には「世界同時軍縮」を目指す

 頼仁氏は、壮大な将来像を語る。

「僕が目指すのは、『地球をよくしたい』ということ。いつか民族や宗教同士の争いをなくし、国境が要らなくなるような地球にしたい」

 すでに頼仁氏は、名古屋と新宿で街頭演説にも挑戦した。

「名古屋では恥ずかしくて、途中でなにを言っているかわからなくなりましたね。後日、新宿でも演説したのですが、その日、僕は雨を止めることができたんですよ。天気予報では降水確率100%だったんですが、一滴も降らなかった」

 そんな頼仁氏にとって、兄はどんな存在だったのか。

「小さいころは、お兄ちゃんの “冒険譚” を、よく聞かされていました。お兄ちゃんは、『この小学校には秘密基地があって、そこのトップは○○君だ。だからあいつはいちばん怖い』なんて話をするのがうまくて。

 僕は、なにも知らないふりをして、『えっ、そうなの!?』って驚いていました」

 その後、2人は別の道を歩むことになる。兄は高校を中退し、お笑いの世界へ。一方の頼仁氏は大学を卒業後、高校教師を経て、いまの活動へとたどり着く。

 じつは頼仁氏の活動の根底には、2人の母親・君子さん(80)が長年続けてきた社会活動の影響があった。君子さんが語る。

「私はかつて、あるボランティア団体に関わっていて、そこで環境のことや、いまの地球がどうなっているかという話を聞いたんです。

 そうすると、『私たち大人が地球を破壊しているのだから、これからの子供たちには、よい地球を残したい』と思うようになりました」

 頼仁氏も、「母のそういう願いが伝わりました」と話す。君子さんは現在、頼仁氏の化粧品会社の専務を務め、いわば一心同体。また、姉も社員として働き、2人とも頼仁氏の政治活動を支えている。

「社長(頼仁氏)の姿を見ていると、『日本を変えたいという覚悟が、今年になってから、いちだんと増しているな』とわかりますよね。いまの国民は、ご馳走してくれたとか、就職を斡旋してくれたとか、そういう人にばかり票を入れます。

 そういう政治を見ていると、日本は寂しい。社長が政治活動を始めるには、『今がいちばんいいタイミングかな』って思いましたね」(君子さん)

 母が次男を “慕う” 一方で、兄弟間には長い断絶があった。

「僕が会社を設立する前、兄と一緒にラジオ番組に出たりしたことはあります。もう16年ぐらい前じゃないですか。でも、会社を設立してからは、テレビもラジオも、まったくつけてません」(頼仁氏)

 兄が番組の中で、弟について話すことがあったというが、いい思い出ではなさそうだ。

「化粧品会社をやっていることなどを、茶化して言っていますから。お笑いのネタとして言われていたようです」

 昨年は、兄弟の父親の十三回忌がおこなわれた。だが、ここでも2人が会うことはなかったという。

「すれ違いでしたね。向こうは仕事が忙しく、法要には、僕とは別に出席したみたいです」

 頼仁氏が政治活動をおこなうことで、兄には影響はないのかと聞くと、こう話した。

「まあ、兄に影響が出ても、お互いさまですよ。僕らは、もっと影響を受けていますからね。僕が政治や地球の話をしていても、『スピードワゴンの弟』としか見てもらえないことがありました」

 だが、兄・一敬は、母の君子さんには毎日のようにメールを送ってくるという。

「(一敬は)元気で頑張ってくれているから。芸能界にとどまらず、皆さんによくしていただいて、ありがたいなと思います。

 社長が政党を作ったことは、まだ言ってないです。きちっと話せばわかると思いますよ。私には、『体に気をつけてやってくれ』『長生きしてくれ』と言ってくれますね」(君子さん)

 母親にとっては、2人ともかわいい息子に違いない。だが、その息子同士の距離は……。

「兄との関係は、実際には遠いですよ。でも会ってなくても、僕はいつもエールを送ってはいます。健康で、元気でやってていただければ。無事がなによりの便りです。

 僕は、兄との仲はいいと思っているんですよ。兄に迷惑がかからないように、努力しています」

 後日、本誌の取材がきっかけになったのか、頼仁氏から「兄と電話で話しました」と連絡があった。

「僕が『党を起ち上げて、迷惑をかける』と言うと、兄は『お互いさまだから、気にしないように。今度、コロナ騒動が収まったら、また家族で会おう』と。

 政治活動の応援を、兄にお願いするつもりはないですが、『大変だから頑張れ』と言ってくれて、よかったです」

(週刊FLASH 2020年4月28日号)