大宮退団後はボタフォゴやパルメイラスといった母国の名門でもプレーしたラファエルは、8年ぶりのJ復帰への想いを語った。 写真:田中研二

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 現在、世界中で感染が拡大している新型コロナウイルスの影響により、深刻化している欧州をはじめ各国のリーグが中断。Jリーグも延期の措置が取られ、3月19日には今シーズンのレギュレーションとして降格がないことが発表されるなど、文字通り異例の事態となっている。

 そうした状況下にあって、海外からやってきた助っ人選手たちの心労は想像に難くないが、ヴァンフォーレ甲府のブラジル人FWラファエルは、ブラジル・メディア『Esporte Interativo』の取材で、日本の現状について語っている。

 2009年8月から約3年半に渡って大宮アルディージャでプレーした経験を持つラファエルは、今シーズンから甲府に加入。J1昇格に向けた切り札として、2月23日に行なわれたFC町田ゼルビアとの開幕戦(0-0)に先発出場し、新天地でのデビューを飾っていたが、その直後にリーグは中断。イレギュラーな船出となった。

 巷ではマスクやトイレットペーパーなどが売り切れるなど、私生活にも新型コロナウイルスの影響が及んでいるが、ラファエルは同メディアの取材に「選手同士で会う時も、凄かった時は物理的な接触は避けるように言われた」とクラブからの忠告内容を明かし、さらにこう続けた。

「少しずつ良くなってはいるんだ。でも、トレーニングが終わったら、本当に必要なものを買うとき以外は、家にいるようにしている」

 それでも「ブラジルに戻ることは考えなかった」というラファエルは、今から9年前に東日本大震災を経験したからこその想いを告白した。
 
「2011年に日本で大きな地震が起こったとき、僕はこの国で自然の大災害を経験したんだ。だけど、日本人はその時も常に他人と連帯していたのを目にした。あの大きな津波が起こった後、6か月後には全てが正常で、順調に回復していた。

 日本人はお互いに助け合い、非常時にも他人のことも考えられる素晴らしい連帯の心を持っている。どんな時もお互いの役割を把握し合っているんだ。だから今回の新型コロナウイルスがピークだった時も、僕はブラジルに帰ろうとは思わなかった。もちろん、まだリスクはあるし、注意は払い続けているよ」

 日本へのリスペクトを口にした36歳のストライカーは、さらにこうも続けている。

「本当はもっと前に日本へ戻りたかったんだ。僕はこの国に対して明確な愛情を持っているからね。僕はあの大惨事を経験した時に、プロとして、人として、本当に多くを学ばせてもらった。一人の人間として、僕はここに戻ってこられて嬉しく思う。その扉を開いてくれた甲府には感謝したい」

 いまだJリーグは、正式な再開の目途は立っていないが、日本への熱き思いを語ったラファエルのプレーに注目したいところだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部