2020-21年秋冬コレクション

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 「ロエベ(LOEWE)」がパリで行われた2020-21年秋冬コレクションのショーで日本人陶芸家の桑田拓郎とコラボレーションしたアイテムを披露した。

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 クラフトとの新しい関わり方を探求しながら「ファッションと遊ぶことを愉しむ」をテーマに掲げた今シーズンは、素材やボリュームのバリエーションが豊富。ウールやブロケード、ジャカードシルクや厚手のコットンなど、異なる質感が様々な表情を生み出している。ドレープやギャザー、誇張された袖や彫刻のような襟によって、ドラマティックなシルエットを作り上げた。

 桑田拓郎は、伝統技法を踏襲しながら独創的な作品を生み出す気鋭の陶芸家。大胆な色使いをはじめ、丸みのあるスタッズや角のような突起物が作品の特徴で、ロエベとの繋がりは2018年に遡る。その年、桑田は優れたクラフト職人の発掘を目的に設立された「ロエベ クラフトプライズ」で特別賞を受賞。昨年11月にオープンした旗艦店「カサ ロエベ 東京(CASA LOEWE Tokyo)」の店内にも同氏の作品がディスプレイされるなど交流を続けてきたほか、クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)も桑田の作品を好んで収集しているという。

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 ショーに登場したコレクションピースのうち桑田が制作を手掛けたのは、アイコンバッグ「フラメンコ」クラッチのドローストリングのチャーム、ペンダント、ドレスのフロントに埋め込まれたスタッズ付きのプレートなど。布やレザーの「柔らかさ」と陶器の「堅さ」という相反する素材を組み合わせ、ファッションとクラフトの新たな融合を試みたという。いずれもランウェイで観客の視線を集めていた。

 レザーのロングジャケットやダブルブレストのケープジャケット、繊細なビーズ刺繍が首と袖に施されたニットといった、エレガントなアイテムが発表された一方、中盤から終盤にかけては日本の伝統工芸を彷彿とさせるスタイルが登場。着物を思い起こさせる厚手の織物で仕立てられたセットアップや、青海波をはじめとする和柄のドレス、金箔が貼られたようなプリント柄のドレスなどが異彩を放ちながらも、日本の工芸にも造詣が深いジョナサンらしい表現方法で唯一無二のコレクションが構成されている。

 ショーには、日本からのゲストとしてパリコレ初参加となる今田美桜をはじめ、AMIAYA、秋元梢、高橋ららのほか、カーリー・クロス(Karlie Kloss)、アイリス・ロウ(Iris Law)、テッサ・トンプソン(Tessa Thompson)などが来場し、グラフィカルな会場を彩った。