エージェンシー各社は、コロナウイルスの脅威による、世界経済の圧迫を受け、リモートワークの推奨と特定の国への渡航を制限している。

コロナウイルスに感染する恐れが高まっていることから、彼らは感染地域への渡航を制限するよう予防策を講じており、従業員には、旅行の危険を冒すよりも、必要に応じてリモートでの作業や、テレビ会議の利用を奨励している。グループエージェンシーたちは「仕事は相変わらず続いているが、その多くは会議のために移動することはなく、必要に応じてリモートで行われている」と話している。

各社の対策状況は以下のとおりだ。

・WPP:同社の海外への渡航に関するポリシーによると、現在中国、香港、シンガポール、韓国、日本、そしてイタリアへの旅行が制限されており、それらの地域から帰国する場合、14日間は遠隔での勤務を求められる。

・IPG:2月27日の朝、社員に対し中国と韓国への渡航を「追って通知があるまで」と制限。加えてそれらの国、およびイタリアから帰国する従業員に関しては、14日間自宅で働くことを要求する、WPPと同様のポリシーを詳述したメモを送付した。

・オムニコム(Omnicom):2月最終週の前半、同社は従業員の感染可能性が見られたため、48時間にわたってロンドンオフィスを閉鎖。その後、中国、日本、香港、イラン、シンガポール、韓国、タイ、台湾、北イタリアへの旅行を延期する渡航ガイダンスを更新。追って通知があるまで、渡航を延期するよう命じた。また、これらの場所から戻る従業員は、14日間はオムニコムのオフィスに戻らないよう求められている。

・電通:サ・ドラム(The Drum)によると、電通は2月25日、本社に勤務する社員にコロナウイルスの感染が確認されたあと、全従業員に対し、原則として在宅勤務に切り替え、コロナウイルスの影響を受けている国や都市への渡航を制限。リモートワークを命じている。また、同社は以下の声明を発表している。「当社にはたくましく、事業を継続させるためのチームがある。社員を保護し、必要に応じて迅速に対応できるよう、グローバル、地域、およびローカルレベルで動いている。我々は、特にリスクの高い市場に関して、状況を継続的に監視し、すべての地方自治体の勧告を採用している」。

・ハバス(Havas):ハバスのCEO、ヤニック・ボロレ氏が発行した内部メモによると、同社では東南アジア、ミラノ、ベニスなどへの出張が中断されているという。また、これらの地域の出張から戻ってくる従業員は、14日間自宅で仕事をしなければならない。

・ピュブリシスグループ(Publicis Groupe):ピュブリシスグループは、コロナウイルスの可能性に関する声明をまだ発表していないが、先週、中国、韓国、およびイタリアへのこの1週間ほどの旅行を制限している。海外への渡航に関しても、可能であればSkypeとビデオ会議での実施を奨励している。

これらすべてのグループエージェンシーの株式は、世界中の市場で打撃を受けている。WPPの株式は15%、IPGは5%、オムニコムはほぼ4%、電通イージスは2.5%、ピュブリシスグループも5.6%下落している(※原文記事掲載は2月28日)。幹部たちは、ウイルスに関する懸念に対処しつつ、ビジネスニーズも管理しようとしている。しかし、このウイルスの長期的なビジネスへの影響については不明な点が多い。

WPPのCEOであるマーク・リード氏は、アーニングコール(米国の企業が電話やWebcastを使って行う、投資家向けの収支報告)で、同社の中国での事業へのコロナウイルスによる影響について質問されたことについて、「我々が、なかなか具体的な話ができなかったのは、単に、不明瞭なことが多すぎるからだ」と語った。「そして、状況はより不明瞭になっている。もし、先週の金曜日にこのミーティングがあったとしたら、今日とは異なる回答をしていただろう」。

また、オムニコムCEOのジョン・レン氏も、2月最終週前半に行われたアーニングコールで、関連企業のビジネスに対する、コロナウイルスの脅威について言及。中国でのイベントビジネスはキャンセルにより影響を受ける可能性があると語った。「中国に敬意を表して、我々は現在のところ、日々ほかのほとんどの人々と同様にふるまっている」と同氏。「中国は重要な市場だが、我々にとっては、それほど大きな市場ではない」。

Kristina Monllos(原文 / 訳:村上莞)