雁が原スキー場(2月4日、帝国データバンク撮影)

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 雁が原スキー場(福井県勝山市)を運営する勝山観光施設(株)が2月3日に自己破産を申請。続く17日には、アサヒテングストンスノーパーク(島根県浜田市)を運営する(株)ユートピア・マウンテンリゾートが自己破産申請の準備に入った。いずれも暖冬の影響による雪不足で、今シーズンの営業ができない状態だった。

 雪不足によって倒産に至るスキー場は、今後も続発することが懸念される。

暖冬は一過性ではない

 気象庁は例年9月下旬に寒候期予報を出しているが、昨年9月の予報で「全国的に平年並か高い」、また「冬の降雪量は北・東・西日本 日本海側で平年並か少なく」と発表しており、その時点でウインタースポーツ関係者の顔を曇らせていた。この予報資料をさらにみると、過去10年間の冬の降雪量は、平年に比べて「少ない」もしくは「かなり少ない」シーズンが多く、2013-14年以降は地域によってはほとんどだ(表)。また、特徴として「地球温暖化の影響等」を挙げていることから、暖冬は今シーズンに限った話ではないことが分かる。

 このような気象状況において特に厳しいのは、標高が低いスキー場。破産した雁が原スキー場は標高の高いところで400mほど。新潟県北部にある下越エリアの5つのスキー場のうち、4つのスキー場は実質的な営業をせず、2月に入り相次ぎクローズした。これらの標高はベースで100m台、高いところで600〜700m。これまで受けていた村からの財政支援の打ち切りが決定した、わかぶな高原スキー場(新潟県関川村)もその一つだ。もちろん緯度にもよるが、北海道・東北に比べれば状況は厳しい。また沿岸部に近いスキー場も、山間部の山雪のように降り積もらない。

スキー場関連倒産は50件を突破

 かつて賑わいを見せたスキー場は、バブル崩壊や平成不況などの景気低迷、少子化などの影響を受け、スノーボーダーによる下支えがあったもののゲレンデ人口は減少し、倒産やオーナーチェンジをしたところは少なくない。他方、日本スキー場開発(株)(長野県白馬村)などにように、スキー場の魅力を高めるだけではなく、冬場以外のレジャーを設け通年営業するなどの取り組みを図り、スキー場の再生再建を手がける企業も現れている。しかし、“記録的な”から“慢性的な”雪不足になりつつあるスキー場に、こうした企業が手を差し伸べることは考えにくい。利用者の中心が県内ナンバーであればなおさらだ。スキー場運営やリフト運行のスキー場関連倒産は、2000年以降、冒頭の2件を除いて50件。雪不足にあえぐスキー場の将来には、皮肉にも暗雲が垂れ込めている。