現在、食料雑貨販売の収益のうちオンラインにおけるものは全体の3%のみである。これがすぐに変わるだろうと考えるアナリストは多く存在する。

それを示す例のひとつとして、ニールセン(Nielsen)の協力を得て行われたフード・マーケティング研究所(The Food Marketing Institute)の調査がある。それによると2025年までに20%近くの食料雑貨販売がオンラインに移行するだろうとのことだ。2019年に発表されたeマーケター(eMarketer)のレポートでは、食料と飲料品のeコマースは2019年に18%以上の成長を見せ、来年は19%近くの成長を見せる、となっている。エッジ・バイ・アセンシャル(Edge by Ascential)は一方で、食料雑貨のオンライン売り上げ合計は2024年まで年平均成長率13%を見せ、1620億ドル(約17兆円)にまで達するだろうと予測している。

どの数字も大きな桁だ。だが、あらゆる予測と同様に、それぞれが大きく異なっている。

これらの分析における中心的な存在となっているのが大手リテーラーにおけるオンライン食料雑貨販売の成長だ。特にウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)、そしてAmazonといった企業たちはそれぞれオンライン食料雑貨販売を独自に進化・成長させている。

ここで特に重要なのがウォルマートだ。2019年第3四半期のウォルマートの米国収益831億9000万ドル(約9兆円)のうち、56%は食料雑貨からきている。これによってウォルマートは国内最大の食料雑貨販売社となっている。この規模は極めて大きなものであり、ローカル・セルフリライアンス(地産地消、を示す)研究所(the Institute for Local Self-Reliance)によるひとつのレポートでは、ウォルマートが「国内市場の約1/4」をコントロールする、と指摘している。

ウォルマートが牽引する分野

言うまでもなく、オンライン食料雑貨販売を牽引しているのはウォルマートだ。彼らの収支報告で、最高財務責任者であるブレット・ビッグズ氏がeコマースに関する野心を語っている。「eコマースにおいて、41%増というもっとも良い売り上げ成長をこの四半期に見せた。顧客は食料雑貨のピックアップとデリバリーの便利さを楽しんでおり、このサービスはeコマース全体の成長に非常に意義のある貢献をしている」。

食料雑貨eコマース分野におけるウォルマートの投資は業界全体の推計指数を上回っているかもしれない。カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California Santa Cruz)の社会学教授クリス・ベナー氏によると、ウォルマートのeコマース食料雑貨成長率は2018年、2019年、共に約40%だったとのことだ。ベナー氏は社会改革サンタクルーズ研究所(the Santa Cruz Institute for Social Transformation)のディレクターだ。「業界の他企業では大体2〜3%となっている。つまり全体の事業成長率ははるかに小さい」ことを意味していると、彼は言う。ウォルマートは明らかに国内における食料雑貨分野を席巻しているものの、40%のeコマース成長率は「もともとのベースがとても小さい」ことに起因している。このようなロジスティクス・システムを実行することが比較的容易かつ安価な都市部や郊外において、ウォルマートによる継続的に大きな投資は素早い事業成長を見せているにすぎない。

この現象の中核には、配送が高価であり、遂行には多くの困難が伴うという要素がある。資金を豊富に有するAmazonやウォルマートといったリテーラーたちは、このようなプログラムに投資し、利益が生まれるのを待つ、という余力を持っている。しかし、ほかの食料雑貨店たちには、そのような贅沢は許されない。特にウォルマートのような競合他社たちは継続してイノベーションを繰り返している。結果として、成長率は高いものの、業界全体でのイノベーションは偏在しているのだ。

確実に見える「変化の兆し」

eコマース売り上げにより容易に対応できるように既存の仕組みを再開発することに多くの企業たちは目を向けている。そんななかで、いま流行りの用語となっているのが「ダーク・スペース」だ。これは実店舗のフロアをオンラインのフルフィルメント運営のために再割り当てすることを示す。

ウォルマートも含めたいくつかの食料雑貨企業はマイクロ・フルフィルメント・センターを構築しはじめている。これは既存の店舗に拡張する形で建築され、eコマース業務の運営を円滑にするための施設だ。しかし、この方法がいくらオンラインのための倉庫を独立してゼロから作るよりも安価だとしても、これらの新しいシステムは投資がかかり、そして満足のいく結果を生むための微調整が何年もかかる。

変化の兆しは確実に見えている。「オンライン食料雑貨注文の事業成長にどうやって対応できるかの方法をリテーラーたちは模索している」とアラート・イノベーション(Alert Innovation)の営業・マーケティング部門バイスプレジデントであるPJスタッフォード氏は述べる。アラート・イノベーションはウォルマートを含めたリテーラー向けにマイクロ・フルフィルメント技術を構築する企業だ。「成長が起きているという点では、私のなかではまったく疑いの余地がない」。

拡大の範囲はまだ不明瞭

それでも、オンラインeコマースの売り上げが、食料雑貨というパイのうちどこまで食い込んでいくかはまだ不明瞭だ。ベナー氏によると、今後数年の間に8%まで食い込む可能性があるという。eマーケターの推計では4%を少し下回る。フード・マーケター研究所では20%近くにまでなっている。

つまりこの時点では、誰も確かなことは知らないことが分かる。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:塚本 紺)