ショップ・ユア・フィット(Shop Your Fit)は11月にローンチしたばかりのオンライン小売企業だ。にも関わらず、同社のラインナップにはすでにメイドウェル(Madewell)やエロクイ(Eloquii)、ルルレモン(Lululemon)といった大手ブランドが名を連ねている。

(注釈:本記事の公開時点でこれらのブランドが同社のウェブサイトに掲載されていたが、その後削除されている。同社はこれらのブランドはパートナーではなく、テスト目的で記載しただけとしている)

ショップ・ユア・フィットが重視している戦略はふたつある。ひとつ目が、顧客一人ひとりの体型に合わせた服を提案することだ。創業者でありCEOのマティアス・ギャス氏は、ただのサイズにとどまらないフィット感を提供したいとしている。そしてふたつ目が返品率を抑えることだ。このふたつの戦略には相乗効果がある。アパレルブランドの返品の46%は、サイズが合わないことに原因があるためだ

「ZOZOSUIT」の失敗を教訓に

ショップ・ユア・フィットでは、モバイルサイトにカスタマーが正面と後ろから撮った自分の写真を2枚アップロードできるようになっている。さらにカスタマーが身長と体重を入力すると、独自技術によりユーザーの体型プロフィールが作成され、サイトで展開しているブランドのなかからそれに合わせた服が提案されるという仕組みだ。ギャス氏は、子供がいる比較的高い年齢層の女性がターゲットのブランドと、18歳から24歳の女性をターゲットとしているブランドでは、Mサイズの定義も異なると指摘している。

買い物中のカスタマーがある商品をクリックすると、カスタマープロフィールの数字に基づいて適正サイズがあらかじめ選択されるようになっている。たとえば大きめのシャツが欲しい場合などはこのサイズ以外も選択できるし、上記の情報をアップロードしなくても買い物はできるようになっているが、ギャス氏はこのシステムこそがショップ・ユア・フィットの強みと考えている。

とはいえ未知数な部分もあり、この技術が想定通りの効果を発揮できるか、そしてカスタマーから受け入れられるかはまだ結論づけられない。日本でもオンラインアパレルのZOZOが昨年、カスタマーに完璧にフィットするとされる「ZOZOSUIT」をローンチしたが、構想が十分に練られていなかったこともあり非常に大きな損失を残す失敗に終わっている。ギャス氏はショップ・ユア・フィットと似た取り組みについて把握しているものの、サービスを成功に導く秘訣を見出したとしている。同氏は速度と利便性が非常に重要だと語る。

「他社の取り組みを見てきたが、売る側にとって便利なだけで、消費者にとっては不便なサービスばかりだった」と、同氏は述べている。「カスタマーは測定用のスーツをオーダーして、送られてくるのを待ち、写真を撮って、さらにサイズの入力が終わるまで2週間待つというような手間をかけたくないのだ。カスタマーが求めているのは、スマホだけででき、特別な用具を使わず、一瞬で終わるサービスだ。構想段階では何度も、カスタマーが直接足を運んで体型をスキャンする場所を作ろうか迷った。だがあくまでカスタマーにとって煩わしくない、スマホで一瞬でできる手法にこだわりたかった。カスタマーは煩わしさを取り除いたサービスに慣れている。現代ではたとえ1時間で終わるプロセスであっても、煩わしすぎるのだ」。

フィットする服は返品率を下げる

さらにショップ・ユア・フィットは商品の在庫を持たず、ブランドとも従来の小売関係を結んではいない。カスタマーがショップ・ユア・フィットで注文を行うと、注文はブランドに転送される。ブランドがフルフィルメントを行い、カスタマーに商品を届けるという仕組みだ。そしてショップ・ユア・フィットは配送費用、マーケティング費用、返品費用をすべて受け持つ。そのうち返品費用については、完璧にフィットする服を提供するため非常に小さくなるだろうというのが同社の考えだ。そのかわりショップ・ユア・フィットは各売上の30%トを、ブランドは追加費用なしに70%を受け取るという取り決めになっている。

ギャス氏は、このモデルがショップ・ユア・フィットとブランドにとって成功となるためには返品率を抑えることが欠かせないと語る。いまのところ、返品率が問題となる様子はない。全米小売業協会(The National Retail Federation)によれば、アパレル業界における返品率は平均で40%にものぼる。ギャス氏によれば、ショップ・ユア・フィットの返品率は5%程度に過ぎないという。

ブランドからすれば、これはカスタマー獲得のチャンスでもある。ショップ・ユア・フィットのカスタマーはブランドではなく自分の体型に合う服で探すため、ほかでは知られることのなかった新興ブランドの商品でも目に触れるようになる。

カスタマー理解も当然進む

さらにブランドがカスタマーについて理解を深めるのにも役立つ。

ショップ・ユア・フィットとパートナー契約を結んだ女性ブランドのワーズカウント(Words Count)の共同創業者イリアナ・コーガン氏は「当社にとって非常に相性が良い」と語る。「ショップ・ユア・フィットのビジネスモデルは、当社のカスタマーについて理解するのに大きく役立つ。どの層をターゲットにすべきか、カスタマーがなぜほかのブランドではなく、当社を選んでいるか把握しやすくなる」。

ファッション業界では、サイズ重視の商品提案がひとつのトレンドになりつつある。ターニャテイラー(Tanya Taylor)やレベッカミンコフ(Rebecca Minkoff)といったブランドは、サイズの幅を増やして、より多くのカスタマーを取り込もうとしている。ギャス氏は、将来的には提携しているブランドがより幅広いサイズを提供できるように協力していきたいと語る。

いずれ返品率0%も視野に

現在、ショップ・ユア・フィットは15のブランドと提携しており、チームは20名以上から構成されている。また、11月のローンチ前に120万ドル(約1億3100万円)の資金を調達している。さらにギャス氏は、近いうちにサイト上の商品写真をブランドから提供してもらうなど、細かな改善を行っていく予定だという。

「2020年の当社の目標は、150以上のブランドと提携することだ」と、ギャス氏は語る。「現時点で、収益やオーディエンスの拡大についてそこまで重視しているわけではない。いま取り組んでいるのは、返品率を5%からさらに0%近くにまで引き下げようとしているところだ。返品率で目標値を達成したら、その後に成長戦略について集中的に取り組むつもりだ」。

DANNY PARISI(原文 / 訳:SI Japan)