わずか1年余り前に創業した、シンガポールに拠点を置くD2Cスニーカーブランド、カリウマ(Cariuma)は、2019年10月にeコマースサイト、ファーフェッチ(Farfetch)からサスティナブルファッションブランドを意味するエシカルコンシャス(Positively Conscious)と認められた。これはファーフェッチ史上最速の記録だと、ブランド共同創設者のフェルナンド・ポルト氏は断言する。

現在、D2Cフットウェア業界には多くが参入しており、なかにはヴェジャ(Veja)やオールバーズ(Allbirds)など、すでに地位を確立したところもある。だがカリウマを起業したふたり、ポルト氏とデヴィッド・パイソン氏は、2018年5月の創業以来、前月比25%の成長を続け、3〜4カ月ごとに売上を倍増させている。ヴァンズ(Vans)やコンバース(Converse)といった大手と肩を並べる将来を見据えていると、ポルト氏は語る。

クラシックなスタイル、サステナブルな素材、D2Cの3要素を有するフットウェアは、いまや珍しくない。グレイツ(Greats)やノア(Noah)、そして前述のヴェジャやオールバーズをはじめ、多くのブランドがこれらの要素を備えている。ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)といった大手に代わる、よりサステナブルなスニーカーを求める声が消費者の間でますます高まっているからだ。そんななか、フットウェアブランドが注目を集めるための最善策は、顧客フィードバックに基づき、既存モデルをくり返し見直して商品の向上に絶えず努めるという基本の徹底だと、ポルト氏は指摘する――そしてこれは、フットワークの比較的重い、巨大な古参ブランドには容易なことではないと、氏は言い添える。

「古参ブランドのなかには、50年や100年も同じスニーカーを同じスタイルで作っているところもある。そして、それで売れ続けているため、彼らには変える動機がない。では、何十年も業界にいるそんな大手と、どうしたら勝負できるのか? [競合他社よりも]はるかに優れた商品、つまり履き心地がより良く、ゴミ/無駄がより少ないものを作るよう努めること、それが答えだ。マーケティング戦略やブランドメッセージは誰にでも真似できるが、その核を成すのは商品にほかならない。だからこそ、我々はスタイル、履き心地、サステナビリティにフォーカスしている。履き心地も見かけも良いが、まったくもって非エシカルなブランドもあるし、反対に、サステナブルで履き心地は良いが、見かけが最悪なところもある」。

急成長を実現できた背景

売上などの具体的な数字は明らかにしなかったが、ポルト氏によれば、カリウマは2回の投資ラウンドで2400万ドル(約26億円)を集め、いまやリオ、ロサンゼルス、ニューヨーク、シンガポールにオフィスを構え、従業員数も当初の2人から30人以上に増えたという。しかも、そのすべてをこの1年で成し遂げた。

ただし、D2Cブランドの場合、良い評判を広めて社を拡大していくのはとりわけ難しいと、ポルト氏は語る。実際、快進撃を続けるカリウマでさえ、最初の4カ月間はわずか数足しか売れなかったという。パイソン氏は当初の顧客――その多くはインスタグラムでカリウマを知ったという――の「かなりの割合」に自身のeメールアカウントから直接メールを送り、商品/ブランドの満足点と今後の改善点に関するフィードバックを引き出した。パイソン氏はそれをいまも続けており、これまでにメールでやり取りをした顧客数は約4000人に上る。

カリウマはコラボレーションにも当初から積極的に取り組んでおり、エライサ・ウォン氏といったビジュアルアーティストとのコラボにはじまり、規模の大きな提携も実現させている。パントン(Pantone)のカラーオブザイヤー(Color of the Year)コレクションにおける今後2年間のオフィシャルフットウェアパートナーに選ばれたのも、そのひとつだ。そして、巨大ブランド、プーマ(Puma)の後を継ぐ格好となったこのコラボが、ファーフェッチに認められた事実と相まって、同社のオーディエンス増を大きく後押しした。

コンセプト作りにこだわり

ポルト氏とパイソン氏は創業に至るまでに、2年をかけてカリウマのコンセプト作りに勤しんだ。その時間と資金の大半を素材の開発に費やし、実際、100万ドル(約1億円)以上の私財を注ぎ込んだという。それこそが、サステナビリティにフォーカスする新規D2Cブランドの前に立ちはだかる最大の壁だと、ポルト氏は見ている――ブランドが使用できるサステナブルな素材、技術ともに、いまはほとんど存在しないため、自身で開発する以外にないからだ。

「サステナブルな素材の開発に投資できないとなると、既存のものでは明らかに足りない」とポルト氏。「そこがもっとも難しいところだ。ただ、もっと楽にできるようになる可能性はある。ナイキといった大手がバージンプラスチックの使用を止めると決め、それに必要なリサイクルインフラの整備に投資すれば、再生素材の量がたとえば3倍に増えるし、そうなれば誰もがより低価格で使えるようになる。サステナブルな素材の開発は相当な時間と資金を要する。結果が出るまでに科学的実験を何度もくり返さなければならないし、それは十分な資金のない新ブランドにしてみれば、財政的に相当厳しいものになりかねない」。

突き詰めて言うと、カリウマの戦略は商品を常に改善し、ヴァンズやコンバースといった競合他社の商品よりもゴミ/無駄の少ない、履き心地の良いものを作ることだと、ポルト氏は語る。たとえば、ほかのブランドが12の小さなパーツを使用するなか、3つの大きなパーツでスニーカーを製造し、縫合箇所も3つに抑えれば、ゴミ/無駄を半減できる。従来のようにシート状の布地からパーツを裁断する代わりに、生地を織って必要なパーツを作れば、ゴミ/無駄を45%から2%に削減できると、ポルト氏は断言する。また、とある新商品の発売を数週間後に控えていた当時、その製造を任せていた工場のエシカルスタンダードに関する虚偽が発覚し、その際にポルト氏は、発売を数カ月遅らせてでも、その工場との関係を断つことを選んだという。

すでに60カ国へ向けて出荷

カリウマの起業以前、ポルトとパイソンの両氏はブラジルのフットウェア企業アレゾ(Arezzo)で、それぞれUSAオフィスのトップとコマーシャルディレクターを務めており、そこで築いたコネクションを活用し、当初から29カ国に出荷できる態勢を整えた。創業から1年余り経った現在は、60カ国に出荷している。

DANNY PARISI(原文 / 訳:SI Japan)