米国、iPhoneへの追加関税発動を直前回避。「トランプからアップルに早めのクリスマスプレゼント」
米トランプ大統領は中国との貿易交渉で第1段階の合意に達したとして、15日に予定していた「対中制裁第4弾」を先送りするとツイートしました。この中国との合意は米通商代表部も公式発表しており、確かな事実です。

これによりアップルは、iPhoneやiPadおよびMacBookシリーズへの15%の関税をひとまず回避したことになります。この「対中制裁第4弾」は、中国産品3000億ドル分(約33兆円)への追加関税であり、スマートフォンやノートPC、ゲーム機などを対象としたものです。8月には延期されていましたが、再び発動を見送られたかっこうです。

大手証券会社Wedbush Securitiesのアナリストによれば、もしも追加関税が実施されていれば、iPhoneの価格は年末商戦を前に約150ドル上がったかもしれないとのこと。投資家向けのメモでは「トランプは早めのクリスマスプレゼントをアップルに贈った」と述べられています。

同アナリストいわく、アップルが追加関税のコストを負担して値上げしなければ、来年の1株当たりの利益は約4%減っていた見込みとされています。さらにiPhoneの値上げで対応した場合は、需要は6〜8%は減少するとの予測です。

アップルのティム・クックCEOは、追加関税を避けるため、トランプ政権に対して様々な働きかけを積み重ねていました。まず全米各地での雇用拡大の発表、労働力政策諮問委員会への出席(でも「ティムアップル」と名前を間違えられる)やトランプ氏との会談、新Mac Pro工場の視察に同行する(「本日オープンした」発言の間違いは正さず)など。そうした努力が実った面はあるのかもしれません。

すでにApple WatchやAirPodsシリーズ、iMacなどデスクトップPCやHomePodに関税が課されていますが、これらの一部も見直される可能性があるとのことです。Bloombergは、米中貿易交渉で既存の関税を削減することも協議したとの情報筋の話を伝えています。

アップルは「中国工場で製品を組み立て、米国に輸出する」ビジネスモデルのために米中貿易戦争の渦中に置かれていましたが、ようやく苦悩も和らぐのかもしれません。とはいえ、米中の摩擦はいつ再燃するかも分からず、中国の少子化や人件費が高騰するリスクが見込まれていることもあり、同社のサプライチェーンが中国外に生産拠点を移転させる動きは進みそうです。