ベライゾン(Verizon)傘下で、無店舗型通信キャリアを手がけるビジブル(Visible)が、体験型マーケティングを活用して潜在顧客と直接的な関係を構築している。同社の最高マーケティング責任者であるミンジェ・オーメス氏によれば、この取り組みによって人々に通信キャリアの切り替えを検討してもらえる可能性が高まることがわかったという。

「ブランドとしてビジブルと出会った人のほうが、コンバージョン率が2〜3倍高かった。また、彼らはその最初の出会いから90日間に、我々のメールを読んだり我々と実際に話をしたりするようになる。(サービスの)検討サイクルが非常に長い我々にとって、これはきわめて重要なことだ」と、オーメス氏は語った。

通信キャリアの変更を考えている人は、キャリアについて調べながら数カ月かけて検討するのが普通だ。とはいえ、ビジブルの調査によれば、米国では毎年約6000万人が通信キャリアを切り替えており、同社はこの市場に目を向けている。そこで、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)のようなイベントでポップアップストアやアトラクションを運営するといった体験型マーケティングを通じて、通信キャリアをビジブルに切り替えてもらえる可能性を高めているのだと、オーメス氏は説明した。

ビジブルが顧客との関係構築に費やす予算はマーケティング予算全体の10%にすぎず、体験型マーケティングに使われるお金はさらにそのごく一部だ。それでも同社がポップアップストアやアトラクションを展開するのは、実店舗を一切持っていないことが大きな動機になっているという。なお、予算の90%は、ソーシャルと動画を中心としたデジタルメディアに振り分けられている。

直接交流のメリット

ビジブルが最近行った体験型マーケティングは、デンバーで開催した「#Phonetopia」という名のイベントだ。これは携帯電話をテーマとしたイベントで、ビジブルはDMすべり台(「D」と「M」の形をした巨大スポンジのプールにすべり台から飛び込む)やGIFショップなどさまざまなアトラクションを設置して、人々にインタラクティブな体験を提供した。また、これ以前にも、ロサンゼルス、オースティン、デンバーで異なるタイプのポップアップストアを展開している。

体験型マーケティングを進めるうえで大切なのは、たとえ人々が実店舗で直接ブランドと関わり合うことができなくても、「ブランドの背後に人間がいることを人々に感じ取ってもらうこと」だとオーメス氏はいう。ビジブルは、イベントを通じた消費者との関係構築に注力することで、契約者の獲得や販促プロモーションに傾きがちなこの種のマーケティングで優位に立つことを狙っている。DIGIDAYが以前に報じたように、ビジブルはライフスタイルブランドとして顧客とより深い関係を構築することを目指しており、グロッシアー(Glossier)やキャスパー(Casper)といったD2C(Direct to Consumer)ブランドの動きを注視している。

「我々は、人々が心の底から楽しさを感じられるブランドとリアルに触れ合える体験を作り出そうとしている。その最終的な目標は、通信キャリアを選ぶときに当社を選択肢に加えてもらい、実際に切り替えてもえるようにすることだ」とオーメス氏は話す。「我々は、自分たちが顧客にとって単なる契約先でしかないという現状を変えようとしており、金銭的な関係以上の存在になることができると信じている。顧客との関係を構築し、(顧客の)コミュニティをさらに広げる役割を果たしているのだ」。

コスパ重視の計画

実体験を通じて顧客とのつながりを深めようとする戦略がビジブルにとって理にかなっているというのは、メタフォース(Metaforce)の共同創業者でブランドコンサルタントを務めるアレン・アダムソン氏だ。「オンラインにたくさんの予算を注ぎ込んだのに、顧客の姿が依然として見えないということがある。ちょっとした実体験をデジタル広告活動にミックスする取り組みは、人々に関心を持ってもらうための触媒として機能する可能性があるという点がメリットだ」と、アダムソン氏は指摘した。

ポップアップストアより常設の店舗のほうが、人々にブランドを実体験してもらえる場として機能する可能性は高いが、ビジブルはそうした店舗を持っていない。しかし、「ほとんどの人は店舗の存在を気にかけない」ため、常設店舗が必須だとは思わないと、アダムソン氏はいう。「より少ないコストで(顧客との)ネットワークを確立できれば、多くの人が(通信キャリアを)切り替えるだろう」。

Kristina Monllos(原文 / 訳:ガリレオ)