アリーナ・ザギトワ【写真:Getty images】

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ブッテルスカヤ氏がザギトワ&メドベ&リーザの現在地に言及

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズの女子はアレクサンドラ・トルソワ、アンナ・シェルバコワ、アリョーナ・コストルナヤというロシアの天才少女3人がともに2連勝し、全6戦の優勝を独占。一方で、平昌五輪女王アリーナ・ザギトワ、同銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワ、15世界女王エリザベータ・トゥクタミシェワと実績ある3人は新世代に押されている。母国の元世界女王マリア・ブッテルスカヤ氏はロシアメディア「portal-kultura.ru」で、それぞれの評価について語っている。

 今季のGPシリーズはエテリ・トゥトベリーゼ氏が指導するトルソワ、シェルバコワ、コストルナヤというシニア1年目の3人娘が全6戦の優勝を独占。厳格なトレーニングの下で才能を磨いてきた新世代の台頭を印象づける結果となったが、同門のザギトワはGPファイナルに駒を進めたものの、フランス杯2位、NHK杯3位と優勝を逃した。

「このような状況で五輪女王ザギトワにロシア代表での場所が見つからなくなるのではないか?」との問いを受けたブッテルスカヤ氏は、シーズン前のテスト滑走会は質の高い演技を見せ、さらに「プログラムで一切、何もない場所がなかったし、自信が感じられました」と称賛。一方で、今季のメンタル面の課題を指摘した。

「しかし、次第にその差を追いつかれ、極度の緊張状態で戦わなければならない時、一つのミスもなしに滑るのは難しくなります。問題が精神的なものである可能性はあります。一番高い場所を目指す戦いで競争を耐え抜くためには、ザギトワは自分のスケートを理想的に滑る必要があります」

 17-18年シーズンにシニアデビューすると、破竹の勢いのまま、15歳で五輪女王となったザギトワ。圧倒的な強さで心にゆとりを持ちやすかった状況とは変わり、一つのミスで順位を落とすような緊張感のある戦いになったことに難しさがあると母国の元世界女王は説いた。さらに、話題はメドベージェワとトゥクタミシェワという2人の世界女王に移った。

メドベは「経験のある戦士」、リーザは「流儀を持つ大人」と評価

「ジェーニャ(メドベージェワの愛称)は自分が何をしなければいけないか自分で分かっています。彼女は多くの経験がある戦士です。GPシリーズのロシア大会で彼女は素晴らしい滑りを見せました、特にSPで。彼女には少し足りない部分がありますが、メドベージェワは不足しているものを付け足すことができるでしょう」

「トゥクタミシェワはすべてを素晴らしく実施します。特に3回転アクセルを。先日、彼女は4回転トウループを跳びました。もしこれが彼女のプログラムに加われば、それは大きなプラスになります。彼女はもう他とは完全に違った自分の特徴的な流儀を持つ大人のスケーターです。さらにカリスマや技術もあり、いいジャンプを跳びます」

 ともに実力をしっかりと認めた上で、トゥクタミシェワについては「これは私の考えですが、ジャッジは彼女を少し“抑えて”評価しています」と得点が低くつけられているとの見方を示した。最後に外国勢で脅威になる存在がいるかについては「とても高い女子スケートのレベルと容易ならぬ競争にもかかわらず、ロシアの女子スケーターの右に出る者はいません」と断言した。

 ただし、「私が気に入っている2人の選手」について言及。ブレイディ・テネル(米国)と紀平梨花(関大KFSC)の名前を挙げ、自身の注目選手であることを述べた。今季、女子の勢力図は一気に塗り替えられたが、ザギトワ、メドベージェワ、トゥクタミシェワもまだ実力に衰えはない。残りのシーズンの巻き返しに期待したい。(THE ANSWER編集部)