日本独自の進化を遂げてきた走りのホットな軽モデル!

 日本独自の規格である軽自動車。そのため、当然ながら日本人の使い方に特化したモデルが数多く生まれてきた(一部車種は排気量の大きなエンジンを搭載し海外でも販売されていたが)。現在ではスライドドアを備え、縦方向に室内空間を拡大したスーパーハイト軽ワゴンが人気の中心となっているが、90年代には走りがホットなモデルも多く存在していたのだ。

 そこで今回は90年代に存在した、マツダAZ-1、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノのABCトリオ以外の走り系軽自動車をいくつかご紹介したい。

1)スズキ・アルトワークス(1994〜98年)

 87年に登場した初代モデルが64馬力を発生したことで、現在まで続く軽自動車の馬力自主規制のきっかけとなったという話はあまりにも有名なアルトワークス。90年代の軽ホットモデルをけん引した同車は、3代目のワークスRでそのピークを迎えたといえる。

 DOHCターボエンジンを搭載したRS/Zをベースに、モータースポーツで勝つことを目標に誕生したワークスRは、鍛造ピストン、ハイカム、ビックスロットル、大容量インジェクター、専用ECU、専用タービン、クロスミッション、LSD、強化センターデフなどを標準で装備した本気のマシン。そのキャラクターから、現存車は極端に少ないのだ。

当時唯一スーパーチャージャーを採用したモデルも!

2)三菱ミニカダンガン(1993〜98年)

 現在、三菱のエントリーモデルであるekが登場するまでは、軽乗用車のボトムラインを担っていたミニカ。そのスポーツグレードであるダンガンは、1989年に登場した6代目モデルから設定されていた。当時も1気筒あたり5バルブを擁するモデルとして知られていたが、特筆すべきは7代目ミニカベースのダンガンだ。

 なんと7代目ミニカベースのダンガンは、1気筒あたり5バルブというのはそのままに、3気筒から4気筒へと変更し、世界最小の4気筒DOHC20バルブツインスクロールターボエンジンを搭載するモデルとなったのである。なお、この4A30型DOHCターボエンジンはミニカダンガンのほか、ミニカトッポ/トッポBJやブラボー/タウンボックス、パジェロミニなどにも採用されていた。

3)スバル・ヴィヴィオ(1992〜98年)

 他メーカーがターボを用いてパワー競争をしていたところ、唯一スーパーチャージャーを用いたのがスバルだった。それまでのレックスからフルモデルチェンジを果たして92年に登場したヴィヴィオは、商用グレードも含め、全車4輪独立懸架サスペンションと4気筒エンジンを搭載した車種となっていた。

 そのヴィヴィオの中でもっともホットだったのが、DOHCヘッドにスーパーチャージャーを組み合わせたエンジンを搭載したRX-Rグレードだ。93年にはこのグレードをベースとしたラリーカーがWRCのサファリラリーに参戦し、一時は総合4位を走るほどの速さを見せたのは現在でも語り草となっている。