買い取り額はだいたい60パーセントほどだがそれでも儲けは……

 クルマを手放すとき、乗り潰して廃車にするなら関係ないが、中古車として売られる場合に気になるのが、どれぐらいの価格になるのかということ。もっと言ってしまえば、買い取ったところはいくら上乗せして売るのだろうか?

 その昔、業者オークションがない頃の買い取り価格は、販売価格の40パーセントぐらいなどと言われていた。最近ではさすがにそれほど低くはなく、だいたい60パーセントぐらいだろう。

 もちろんこれは基準で、人気車ですぐに売れるとか、オーダーが入っていてどうしても買い取りたい場合はもっと割合は大きくなる。また、買い取った中古車店がそのまま売るのであれば、中間マージンカットができるので、買い取り価格を高くすることが可能だ。

 逆に不人気車や、超高額車になると人気だとしても買える人の絶対数が少なく、すぐに売れるとは限らないので、販売に対する買い取り額の割合は小さくなってしまう。

 基準の6割にしても、100万円で買い取ったものがだいたい160~170万円で店頭に並ぶわけで、一見すると儲け過ぎのように思うかもしれない。実際、ネットなどの口コミを見ると、自分の売ったクルマの売値を見たらビックリ、ボラれたというコメントが結構目に付く。

 ただし、冷静に考えてみると、6割でトントンというのが正直なところで、会社でよく言われる3倍稼がないと給料が出ないというのと同じような理屈だ。

 利益の内訳を考えてみると、買い取ってからの整備やメンテ代、売れるまでの家賃や店舗スタッフの給料、税金も計算に入れないといけない。

「在庫リスク」により販売価格と買い取り額に差が生まれる

 そもそも商売は水物で、仕入れたクルマはいつ売れるかわからないのは、利益に余裕を持たせなければならない理由として一番大きいかもしれない。つまり在庫リスクで、すぐにオークションに流すにしても、同様のコストはかかる。また業者オークションによって相場ががっちりとできてしまっているので、売るときも買うときも掘り出し物的に高値が付くこともない。

 在庫リスクについて簡単に紹介すると、100万円の利益があったとすると、1カ月であればそのまま100万円。2カ月なら1カ月あたりの利益は半分の50万円で、3カ月なら約33万円にしかならない。ここから上記のさまざまなコストのうち、毎月かかるものを払う必要がある。そのまま売れなかったら、利益を乗せるもなにも、買い取り額も含めて丸損になるだけ。だから、販売価格と買い取り額の差はけっこう大きくて当たり前だ。

 じつはこの仕組みは何でも一緒で、利益が乗せられるからこそ、流通するし、関わる人たちは食べていける。例の芸人の取り分問題も同様で、面倒を見てくれる分、関わる人たちすべてのコストが引かれるから、ほぼすべて自分のものにはならない。ちなみに芸人も含めた芸能人の収入の場合、だいたい6割というのが相場だ。

 どんなジャンルにしても、その分を払うのがイヤとか、もっと高く売りたいというなら、産地直送。クルマの場合なら、個人売買やネットオークションなどで直接取引するしかない。売る方は買い取りに出すよりは高く売れるかもしれないが、手続きなどのやり取りは自分で行なうのが基本だけに手間はかかるし、いつ売れるかもわからない。

 買う場合もオーナーから直接買えばいいが、現状販売が基本で内容についてのリスクがあるし、整備などは自分でしなくてはならないこともある。万が一トラブルになっても、クレームを出すところも基本はない。ショップで買ったからクレームをすべて聞いてくれるとは限らないが、安心感があるのは確かだ。

 買い取り額と販売額の差というのは、売る方、買う方双方にとって保険的な意味もあると言っていい。闇雲にぼったくりなどと思う前に冷静に考えてみよう。