32歳を迎えたメッシ。世界的スターであり、バルセロナの顔でもある彼の存在は、クラブにとって測り知れない価値を持つことは確かだ。 (C) Getty Images

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 バルセロナと2021年までの契約を結んでいるリオネル・メッシだが、どうやら、プレーを続けるかどうかは、彼自身の手に委ねられているようだ。

 スペイン紙『El Pais』は現地時間9月5日、メッシとバルセロナの現在の契約に、選手の希望で契約を解消できる条項が組み込まれていると報じた。その年の5月いっぱいまでに通達すれば、メッシは6月末にフリーになることができるというものだという。

 今やクラブの不動の顔であるメッシをタダで失うかもしれないとなれば、バルサにとっては一大事だろう。しかし、他クラブが手を出せないような高額サラリー、何よりメッシ本人のバルセロナへの忠誠心などから、心配無用という見方が大半だ。

 ではなぜ、メッシの契約にそのような条件が組み込まれているのだろうか。

 記事によれば、カルレス・プジョールやシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタなど、近年のバルサのレジェンドたちもみな、同様の契約を結んでいたとのこと。前述のプジョールはバルサで引退し、シャビとイニエスタはキャリアの晩年までクラブでプレーを続けたのち、それぞれカタールのアル・サッドと日本のヴィッセル神戸に活躍の場を移している。

 メッシに関しては、2017年11月の契約更新時にこの項目が加わったという。ただし、この権利の行使は、ヨーロッパ以外のクラブに移籍する場合に限られており、以前より晩年は母国アルゼンチンのリーグでプレーしたいという希望を明らかにしているメッシの希望に沿うための処置であるとされている。

 米スポーツ専門チャンネル『ESPN』によると、バルサの同僚ジェラール・ピケは現地メディア『Cadena Ser』に対して、「各シーズンの終わりに、メッシが望めばフリーでクラブを去ることができるということは、僕も知っている」とコメントしたという。

「でも、レオのバルサに対する忠誠や強い思いはみんな知ってのとおりだ。僕はまったく心配していない。彼はクラブにすべてを尽くすだろう。契約では、自分の将来を自分で選べる権利を勝ち取っただけのことだよ」

 ジュゼッペ・マリア・バルトメウ会長は、4月に『ESPN』のインタビューに応じた際、メッシを「永遠に」バルセロナに残したいと話しており、今後、新たな契約の締結を目指してメッシの代理人と交渉に臨む予定だと明かしている。

 6月で32歳を迎えたメッシは、引退までバルサで続けるのか。それとも、シャビやイニエスタのように、晩年は他国で過ごすのか。母国復帰の可能性を含め、今後が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部