青瓦台も火消しに躍起か

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約10分の差。日本ではほとんど注目されていないこの数字に、韓国メディアは敏感に反応している。

北朝鮮は2019年8月24日朝、弾道ミサイル2発を発射した。メディアが目を留めたのは、その第一報が流れた時刻だ。日本の方が、韓国よりわずかに早かったというのである。

NHK・共同通信が韓国軍より先に報道

韓国側による、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄通告という異常事態の中、真っ先に動いたのは北朝鮮だった。24日朝6時45分ごろと7時2分ごろの2回、北朝鮮東部の咸鏡南道・宣徳付近から飛翔体を発射した。日本政府は「弾道ミサイル」との見方を示している。GSOMIA破棄発表からわずか2日、早くも日韓の「間隙を突いた」(岩屋毅防衛相)形だ。

韓国メディアもやはり、GSOMIA破棄との関連などが指摘する論調が多いが、同時に日本での報道と違うある部分が、書き手の関心を集めている。

「日本は韓国政府のGSOMIA終了宣言後最初となる北朝鮮のミサイル挑発に、私たちの軍当局より先に、発射の事実を公開した」(朝鮮日報、以下いずれもウェブ版記事より引用)
「合同参謀本部が北朝鮮の飛翔体についての速報を発表する10分ほど前、日本のマスコミが先にそのニュースを伝えた」(SBS)

日本では7時23分にNHKが「おはよう日本」の中で、その1分後には共同通信が、北朝鮮のミサイル発射の第一報を伝えた。対して、現地メディアの報道によれば、韓国政府の発表は7時36分だ。日本の報道の方が、韓国の発表より約10分早かったというのである。

これも日本側の「圧迫」?

韓国の大手通信社・聯合ニュースは、「日本、『北ミサイル』韓国より先に発表 GSOMIA意識したか」の見出しで、この一件を詳細に報じた。

聯合ニュースによれば、2019年の北朝鮮による9回の飛翔体発射は、いずれも韓国側が日本より先に第一報を伝えていた。にもかかわらず、今回日本が10分以上も先行した。この意味について、聯合ニュースでは、

「『韓国のGSOMIA中断の決定で、北朝鮮の核・ミサイル情報の取得に支障が生じるのではないか』という国内の懸念を払拭するためではないか」

との分析を伝えている。

大手紙・朝鮮日報はさらに、北朝鮮に対する情報収集能力が韓国よりも進んでいる部分がある、と誇示する目的があるのでは、とも付け加えた。リベラル系新聞ハンギョレは、「韓国に対する圧迫」とも推測している。

一方、各紙では同時に、日本から韓国に対して情報提供の要請があったことも付け加える。また大統領府(青瓦台)関係者は7月24日、聯合ニュースに対して「文在寅政権が発足して以来、日本からの北朝鮮のミサイル発射に関する情報を受け取り、分析に活用したことは一度もない」と語ったと報じる。

「北朝鮮の核・ミサイル情報の取得に支障が生じるのではないか」という懸念がまさに韓国でも生じており、打ち消しに青瓦台が躍起になっている様子がうかがえる。