DIGIDAY+ 限定記事 ]プログラマティック広告の広告主は、パブリッシャーのインベントリー(在庫)をオープンマーケットプレイスで購入することを心地良く感じはじめている。この事実はいくつかの疑問を提起している。パブリッシャーのプライベートマーケットプレイス(以下、PMP)に役割はあるのか、もしあるとしたら、どのような役割かという疑問だ。PMPはパブリッシャーにとって、インベントリーをプログラマティックに購入する広告主と直接的な関係を維持できる利点がある。

リーフ・グループ(Leaf Group)、アキュウェザー(AccuWeather)、BuzzFeed、ドットダッシュ(Dotdash)などのパブリッシャーは、サプライパス最適化によってプログラマティック購入を効率化するという広告バイヤーの取り組みをチャンスと捉えている。サプライパス最適化は包括的な言葉で、パブリッシャーのインベントリーをプログラマティック購入するもっとも効果的かつ経済的な方法を特定するためのテクニック全般を指す。サプライパス最適化はプログラマティック広告の広告主に人気があり、その結果、プログラマティック広告のパブリッシャーのあいだで、ある補完的な業務が生じている。リーフ・グループのメディア担当シニアバイスプレジデント、スコット・メッサー氏は「デマンドパス最適化」と呼ぶ。

「デマンドパス最適化はサプライパス最適化の裏面だ。私はマーケターの金を手に入れるためのもっとも効率的な道筋を探している」と、メッサ―氏は話す。

バイヤーたちの心境変化



プログラマティック広告のサプライチェーンにおけるパブリッシャーの役割を単なるインベントリープロバイダー以上に強化するには、デマンドパス最適化が重要になってくる。歴史的に、PMPはパブリッシャーの役割を強化してきた。広告のプログラマティック購入に関心はあるが、公開オークションで購入可能なインベントリーはブランドセーフティや詐欺の問題が心配だという広告主に避難場所を提供できたためだ。しかし、アドベリフィケーションベンダーやads.txtなどの対策のおかげで、そうした不安は軽減している。さらに、ヘッダー入札の拡大、広告主とエージェンシーによるサプライパス最適化の導入も後押しとなり、広告バイヤーはオープンマーケットプレイスで上質な優良インベントリーに十分アクセスできるという自信を持ちはじめている。

あるエージェンシー幹部は「責任を持って購入すれば、オープンエクスチェンジほどターゲットオーディエンスにリーチできる場所はない」と話す。

別のエージェンシー幹部も「もちろんPMPは利用するが、ほとんどの購入はオープンエクスチェンジで行っている。クライアントのキャンペーンがパフォーマンス重視になってきている兆候だ」と述べている。

PMPの価値を実証するため



パブリッシャーはどちらも収入につながると考えているため、広告主がオープンエクスチェンジでインベントリーを購入することに反対していないが、PMPの位置づけを変え、広告主により良いパフォーマンスを提供できる場所にしようと取り組んでいる。たとえば、アキュウェザーはオープンエクスチェンジで購入可能なインベントリーをPMPでも購入できるという契約を一部の広告主と結んでいる。ただし、PMPでインベントリーを購入した場合、アキュウェザーはファーストパーティデータを活用できる。その結果、ビューアビリティ(可視性)が上がるように調整するなど、特定の条件が満たされた場合のみ広告を表示し、広告のパフォーマンスを最大化できる。アキュウェザー英国法人の戦略販売部門を率いるサラ・クレムズ氏は「強力なファーストパーティ(データ)があれば、『オープンエクスチェンジの方が安く購入できる』(というバイヤーの感情)に勝つことができる」と語る。

広告主がアクセスするインベントリーそのものを拡張するためだけでなく、広告主がインベントリーにアクセスする方法を広げるため、PMPを活用するパブリッシャーも増えている。ドットダッシュのプログラマティック売上戦略担当シニアバイスプレジデント、サラ・バドラー氏は、PMPの役割は「間違いなく、変化している」と断言する。「なぜなら、サプライパス最適化のおかげで、これらは我々の主要サプライサイドプラットフォーム(以下、SSP)であり、これが我々のインベントリーにアクセスする最高の方法だと言うことができるためだ。我々がしていることとそのやり方に直接アクセスできるため、PMPには価値がある。この会話を再び交わすことができるようになった」。

PMPの価値を実証するため、リーフ・グループはPMPを利用する広告主に勝率グラフを提供している。これがプログラマティック入札の手引きとなり、インベントリー落札のチャンスを高めることができる。グラフには勝率と落札価格が表示されており、入札価格によって、予想されるインプレッション数が変わることがわかるようになっている。また、広告主が注目しているサイトセクションやオーディエンスの位置情報など、シナリオを変えて勝算を分析することもできる。

さらに、リーフ・グループは広告主とともに、プログラマティック広告のサプライチェーンでもっとも効率的な購入経路を突き止めようとしている。最適な価格で最高のパフォーマンスを得るには、デマンドサイドプラットフォーム、ヘッダー入札ラッパー、SSPをどのように組み合わせればよいかといったことだ。ファーストパーティデータ、アドテクベンダー別の売り上げシェアなど、リーフ・グループがアクセス可能なデータを利用している。

透明性を持たせること



パブリッシャーにとって、プログラマティック広告のサプライパスに透明性を持たせることは長年の課題だ。SSPとの契約では通常、SSPから請求される売上手数料などの情報を共有することは禁止されている。しかし、状況は変化しつつある。いわゆるアドテク税に透明性を持たせるよう、広告主やエージェンシー、パブリッシャーがアドテクベンダーに圧力をかけているためだ。

BuzzFeedでプログラマティックパートナーシップ部門のシニアディレクターを務めるミシェル・デバイン氏は、SSPとの契約を解除したり、広告主との情報共有をSSPに認めさせたりすることで、同社は透明性の向上を実現していると話す。

PMPに対するバイヤーの関心を高めるため、ほかの情報を活用しているパブリッシャーもいる。クレムズ氏によれば、アキュウェザーのセラーは、オープンエクスチェンジでアキュウェザーのインベントリーを購入している広告主と購入価格を知ることができるという。セラーがオープンエクスチェンジの販売価格を引き上げれば、広告主がPMPの契約を結ぶ可能性が高まる。BuzzFeedは毎週、オープンエクスチェンジでインベントリーを購入している広告主とPMPで購入している広告主をまとめ、販売チームにレポートを渡している。BuzzFeedのセラーはコンテンツの種類や広告フォーマットなど、広告主がどのようなインベントリーを購入しているかについて洞察を得ることができ、PMPでの広告販売に生かすことができる。「私はいつもセラーに言っている。バイヤーがオープンマーケットに行っても、まだ敗北が決まったわけではないと」と、デバイン氏は語る。

こうしたモニタリングはパブリッシャーにとって、バイヤーがPMPから去りやすい状況で、バイヤーを失わないよう努力する助けにもなる。パブリッシャーがPMPでの活動を監視し、不活発な広告主をチェックするのは当然だと思うかもしれないが、PMPを立ち上げ、そのまま忘れてしまうことも決して珍しくない。だからこそ、ドットダッシュのバドラー氏は四半期ごとに、販売チーム全員でPMPの契約を見直す「大掃除」を行っている。「モバイル、デスクトップ、アウトストリーム、プレロールなど、あまりに多くの種類を立ち上げているため、すべてを思い出す絶好の機会だ。自分が何をしているかをよく考えなければならない」。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)