「東芝メモリ」年内上場に黄信号で損する人、得する人、かく乱させる人
東芝メモリHDの19年1―3月期連結決算(国際会計基準)は営業損益が284億円の赤字(18年10―12月期は540億円の黒字)、当期利益も193億円の赤字(同299億円の黒字)だった。18年後半からのNAND型フラッシュメモリー価格下落が主要因だ。足元の4―6月期も赤字が続く見通し。
その結果、当初予想していた19年後半の市況回復にも黄色信号がともる。例年は年末のクリスマス商戦へ向けて夏場からスマホやノートパソコン用のメモリー需要が高まるはず。しかし「基調は変わらないが、サムスンのせいで勢いが相対的に弱い」(同)と先行きを楽観できない。
さらに13日(現地時間)には、米トランプ政権が中国製品のほぼ全てに対象を広げた第4弾の対中制裁関税の詳細を発表した。NAND型フラッシュメモリーの大口顧客であるスマホとノートパソコンが含まれる。実際に関税引き上げが発動されれば、東芝メモリHDを含む関連メーカーは深刻な打撃を被る。
同社の主要株主の日米韓企業連合の中心である米ベインキャピタルも年内の株式上場へ揺れているようだ。18年6月の買収時と比べてメモリー市況は悪化しており、現状は“高値づかみ”した格好。このまま計画通り年内上場に踏み切るか否か判断の分かれる局面に立っている。
クリスマス商戦後の1―3月期は不需要期のため、収益が落ち込むのが通例だ。19年内の上場を逃せば、次のタイミングは20年夏以降へ先送りになる可能性がある。
みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の3メガバンクは東芝メモリHDへ計1兆円融資し、日本政策投資銀行も3000億円の優先株を引き受ける方向だ。年内の新規株式公開(IPO)に向けて、米アップルなどの取引先が保有する優先株を買い戻す資金などに充てる計画だった。それが越年となれば資金調達計画の微調整は避けられないだろう。
(取材・鈴木岳志)
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