ハロ環[日本語版記事]と呼ばれる環がある。右側にあるうっすらとした幅の広い環は、ゴサマー環だ(あたり一面に存在する光の点は何だって? どれも恒星だ)。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA"> 1/6宇宙ではときに、わたしたちが目にしているものが美しい“遺骸”にほかならないことがある。2万光年ほど彼方で起きた、この壮絶な星の死の残骸もそのひとつだ。これは、「G54.1+0.3」と呼ばれる超新星残骸である。かつて恒星だったものが自ら崩壊すると、内部崩壊のすさまじい力によってガスやプラズマなどの物質が宇宙に勢いよく放出され、こうした水彩画のような現象が生まれる。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA/JPL-CALTECH 2/6だが、死のあとには生が訪れる。中央上の鮮やかな青に注目してほしい。これは「ハービッグ・ハロー天体」と呼ばれる、宇宙では希少な存在だ。こうした天体は、時速25万kmの速度で産みの親の恒星から遠ざかり、およそ数万年で宇宙空間から消滅する。この画像(地球から約1,000光年離れた星団「NGC 1333」)では、その特別なハービッグ・ハロー天体のうち、7から11までの番号がついたものが、生まれたばかりの恒星「SVS 13」から高速で遠ざかっている。SVS 13は、高エネルギーで、周囲のガス雲と相互作用を起こすガスジェットを放出した後だ。PHOTOGRAPH COURTESY OF ESA 3/6ここでちょっとしたクイズを。太陽系の惑星のうち、環をもつものはどれだろう? 土星は言うまでもない。あとは天王星と、それから……ほかには? 木星にも環があることがわかっている。1979年、木星に接近したヴォイジャー1号が環を発見した。そして現在は、米航空宇宙局(NASA)の木星探査機ジュノーにより、ガス惑星である木星を取り巻く、塵でできた環を詳しく調べることができる。この写真は、2018年7月にジュノーが環の内側を飛行したときのものだ。やや明るい内側の環が主環だ。その左側には、ハロ環[日本語版記事]と呼ばれる環がある。右側にあるうっすらとした幅の広い環は、ゴサマー環だ(あたり一面に存在する光の点は何だって? どれも恒星だ)。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA 4/6スピログラフのファンは、うらやましがってほしい。「メシエ61」は、この世で最も美しい渦巻き模様のひとつだ。1779年にシャルル・メシエによって最初に発見された、この棒渦巻銀河と星でできた歩道のようなもので中心につながった腕は、幾世紀にもわたって人々の注目を浴びてきた。天文学者たちはメシエ61に熱い視線を注いでいる。というのも、この棒渦巻銀河ではこれまでに6つの超新星が観測されており、星が“死ぬ”状況を巡る強い関心がかきたてられているからだ(陰鬱な好奇心、と言わせてもらおう)。PHOTOGRAPH COURTESY OF ESO 5/6星(スター)が生まれるときに何が起きるのか? ダークなハリウッド映画さながらのその出生譚を、おなじみの星座が物語っている。NASAの遠赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA)がとらえたこの虹色に輝くオリオン星雲の写真には、星雲で新たに誕生した星が写っている。生まれたばかりの星は、周辺にある大量のガスや塵をかき乱す。注目すべきは、この恒星風により、別の星の形成に必要な物質が吹き飛ばされることだ。それこそが、栄光に向かうレディー・ガガ、新たな歌姫のスターになるための道なのだ。PHOTOGRAPH COURTESY OF SOFIA 6/6このバラ色の雲のなか(白い十字線で囲まれた部分)に隠れているのは、18年にスピッツァー宇宙望遠鏡が観測した「ガイア17bpi」と呼ばれる星である。科学者たちがガイア17bpiに注目しているのは、きわめて急速に形成されていく様子がとらえられているからだ。こうした現象が観測されるのは珍しい。たいていの場合、これほど若い段階で見つかった星は、ほんの数百万歳にしかなっていない。しかもそうした星は、これまでに25個しか見つかっていない。このため、ガイア17bpiはまさに僥倖(ぎょうこう)の星といえる。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA

今回は、子どもからお年寄りまで誰もが楽しめる「木星の環」について。土星の環には及ばないが、それでも環には変わりない。高校の科学の授業では聞き逃していたかもしれない、ちょっとした小話とともに紹介する。

「星の誕生と死:今週の宇宙ギャラリー」の写真・リンク付きの記事はこちら

木星の環は以前から理論的には存在するとされてきたが、実際に発見されたのは惑星探査機「ヴォイジャー[日本語版記事]」がこの太陽系の巨星を通過した1979年のことだ。そして2018年には、木星探査機「ジュノー」が、接近観測の際に環の内側を飛行した。

ここで少し木星を離れ、およそ2万光年彼方にある超新星の残骸を見てみよう。恒星は静かに死んでいくこともある。そうした星々は最終的には冷え切り、赤色巨星に変化する(われわれの太陽も、いつの日かその運命に見舞われるだろう)。

別のケースでは、終焉はそれよりもはるかにドラマチックに訪れる。星が自ら崩壊し、宇宙でもひときわ猛烈な事象を引き起こすこともあるのだ。今回紹介する超新星残骸「G54.1+0.3」は、まさにそれを引き起こし、大量のガスと物質をまき散らした。

深宇宙の暗い謎

かつて恒星だったものが内部崩壊すると、中性子星が生まれる。中性子星は、宇宙でもとりわけ密度の大きなタイプの星だ。わずかティースプーン1杯が、山ひとつぶんもの質量に相当する。

複雑なものになりうるのは、死だけではない。オリオン座で発見された有名な星のゆりかごでは、新たな恒星の誕生に伴って、一種の自然選択のようなものが進行している。新たな恒星になったかもしれない物質が、恒星風によって、文字どおり吹き飛ばされているのだ。

兄弟のような星の誕生を阻害するとは、奇妙な話のように思える。とはいえ、そうやって吹き飛ばされた物質が巡り巡った結果、現在の木星に環が存在しているというわけだ。

深宇宙には、いったいどれほどの暗い謎があるのだろうか? 『WIRED』の充実した写真コレクションをこちらから眺めて、宇宙のことをもっと知ろう。