災害対応ロボの稼動は目前、カギ握る福島評価フィールド
「試験プラント」は入り組んだ配管と点検足場、大型タンクや煙突など、実際の災害現場を想定できる作りになっている
「世界的にもここまでの施設はない。早速、米国で自慢してくる」と長岡技術科学大学の木村哲也准教授は顔をほころばせる。
福島県南相馬市に福島ロボットテストフィールド(福島RTF)で化学プラントを再現した「試験用プラント」がオープンした。入り組んだプラント配管と点検足場、大型タンクや煙突などを本物のプラント設計者が設計。部品もすべて実際のプラントで使うものだ。施設は吹きさらしで、強い海風が吹き抜ける。煙突や足場で風が巻き、複雑な渦をつくる。ドローンが乱流の中を安定して飛び、調査できるか検証できる。
塩を含む風は施設をサビさせる。メーターのガラスには水分を含んだホコリが積もる。汚れを拭くと跡が残り、カメラで撮ると光を反射して数字が読みにくい。木村准教授は「海風でいい感じに劣化が進む。ロボにとって本当にいやらしい。だがこれが現実だ。実用化に向け乗り越えていく」と説明する。試験費用は1フロアを1日借りて10万円だ。
福島RTFは研究者のためだけの施設ではない。ロボを使う企業にとっては自社の課題を開示しなくても、福島RTFで開発者と試行錯誤できる。ロボオペレーターの育成や運用モデルの開発、点検データの蓄積管理などを検証できる。
東北大学の田所諭教授は「あとは、いかに使い尽くすかだ」と指摘する。2019年度末までに試験用の橋やトンネル、がれき土砂災害フィールド、水没市街地フィールドなどが整備される予定だ。
福島県の北島明文ロボット産業推進室長は、「災害対応ロボの評価フィールドは米国や欧州などいくつかある。アジアの中核拠点として試験機能の分担や仲介などをしたい」と展望する。20年にはロボ競技会「ワールド・ロボット・サミット」(WRS)が開かれ、世界から名だたる研究者が集まる。
