復調「ロシア経済」に潜むリスク、日本企業はどう向き合う?
ロシア進出の日系企業について日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた調査によると、2018年の業績で営業黒字を見込む企業(114社から回答)の割合は72・8%と、3年連続で過去最高を更新した。
しかし、同年を底に資源価格の下げ止まりなどもあってロシア経済は回復を続ける。国際通貨基金(IMF)は19年の成長率を1・8%と見込む。日系企業の黒字率も上昇し、前年比で利益改善とする割合は18年は47・4%と過去最高だった。
堅調に見える日系企業だが、19―20年に事業拡大するとした企業の割合は、前年比7・4ポイント減の53・5%にとどまる。黒字率が改善しているにもかかわらず慎重なのは、米国による対ロシア経済への再度の制裁懸念からだ。
米国は4月から、何人かのロシア独占資本家の米国内資産を凍結。米国人でなくても、リストに載った資本家の企業と取引があれば、米当局ににらまれる懸念がある。
制裁には露自動車大手ガズなど、現地日系企業と取引のある企業も含まれる。日系企業にとって頭の痛い話だ。こうした制裁について「影響ある」とした割合は約半数に上っており、具体的には現地市場での売り上げ減少や調達難、新規投資の取りやめなどを挙げている。
今後、米大統領選へのロシア介入疑惑の捜査など進展次第では、さらに強い制裁が課される可能性もある。ジェトロの担当者はロシア進出企業について、「制裁公表でルーブル下落も起きており、米国の動向に左右される」と指摘する。
一方、ウクライナ危機以降のロシアと欧米の関係悪化を背景に、日ロ関係の改善の兆しもある。首脳間の経済協力プランの影響もあり、「近年、地理的に近いロシア極東地域へ日系の中小企業の進出が増えている」(ジェトロ海外調査部)。
ただ、ロシア政府が悲願とする極東開発に日系企業が全面的に参画するには、北方領土問題の進展が切り離せず、先行きは見通しにくい。今後も不透明な国際情勢のなかで、日系企業の対ロ投資は慎重となりそうだ。
商社、資源開発を加速
三井物産と三菱商事が参画する液化天然ガス(LNG)プロジェクト「サハリン2」は、生産量を現状比5割増の年間1500万トン規模に拡張する計画。現在、20年代前半の生産開始に向け、プラントの設計やガス調達、LNG販売先などの検討を進めている。
伊藤忠商事は国際石油開発帝石(INPEX)などとロシア・東シベリア地域で参画する石油探鉱事業について、ロシア政府から承認を得て、16年12月に商業生産を始めた。原油はロシア国内での供給のほか、日本をはじめとするアジア地域に輸出している。
丸紅は露国営石油会社ロスネフチと極東地域でのLNG事業で提携しており、ロスネフチが極東地域に建設するLNGプラントから年間125万トンLNGを19年から輸入することで合意した。また、丸紅はモスクワに鉱山車両用大型タイヤや関連部品を扱う販売会社を設立している。
エンジニアリング、案件管理に慎重
エンジニアリング業界では日揮と千代田化工建設が、北極圏に位置するヤマル半島でLNGプラントを手がけてきた。プラント市場としてロシアへの期待感は高い。今後も同半島でのLNG開発案件「アークティック(北極)2」や、サハリン2の拡張が見込まれる。
