昨季の成績は5位。天皇杯を制したことで、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権は得たが、地元浦和ではこれが特段、大きな問題になっている様子はない。年間予算の規模でかれこれ10数年来、ナンバーワンの座にありながら、J1で年間チャンピオンの座に就いたのはわずかに1度(2006年)。費用対効果が最も悪いクラブであり続けている。

 この川崎戦も試合に敗れ、内容でも劣った。さらに言えば見映えも悪い。最終ラインを5人で固める守備的サッカーを展開した。川崎に対して、実力で到底適わないJリーグの下位チームならまだ理解できるが、浦和は年間予算で川崎を上回るJリーグ随一の金満クラブだ。外人枠増という節目を迎えても、なお、昨季と変わらぬものを見せられると、どうにかならないものかと、一言いいたくなる。

 金満クラブに頑張ってもらいたい理由はまだある。Jリーグはもはや日本人だけのものではないからだ。非日本在住者でも視聴可能であることを忘れてはならない。DAZNとはそういうものだ。

 魅力的なリーグである必要がある。著名な外国人選手がどれほど在籍しているかは、その大きな判断材料だ。欧州には、そうした意味で競争意識が働いている。各国リーグは競り合う関係にある。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの出場枠は、UEFAカントリーランキングなるもので決まる。アジアにもランキングは存在し、アジアチャンピオンズリーグの出場枠に影響を及ぼしているが、少なくとも日本に、対中国リーグ、対カタールリーグという視点はない。ライバル心を燃やすのは代表チームの戦いのみだ。

 世界からどう見られているか。いつかも記した記憶があるが、96、97年頃、当時レアル・マドリーに在籍していたロベルト・カルロスは、Jリーグを移籍の選択肢として4、5番目だと述べた。スペイン、プレミア、イタリア、ドイツ、フランス。これだけでも5ヶ国あるが、ロベルト・カルロスはJリーグを、ドイツ、フランスと同等に捉えていた。

 実際、Jリーグにはこの頃、ロベルト・カルロスに近い選手が数多くいた。ジョルジーニョ、レオナルド、ジーニョ、ドゥンガ等々、ブラジル代表でプレーしていた大物たちだが、スタンドには、著名な外国人選手見たさに集まるファンが目立ったものだ。イニエスタ見たさに集まったファンで、FC東京のホーム、味スタが満杯になるのと同じ理屈だ。

 神戸だけに任せておいていいのか。浦和はそれに続くべきクラブの筆頭ではないか。地味で面白みのないサッカーを展開している場合ではないと思う。