中日の松坂大輔投手(38)がファンと接触したなかで右腕を引かれ、違和感を覚えたとして、「しばらくノースロー調整を続ける」と球団が2月11日に発表したことが報じられた。

共同通信によると、与田剛監督は「病院で診てもらうことになると思う」と説明したという。この一報にファンは衝撃を受け、ツイッターでは次のような声が続出した。

「こんなのファンじゃない!」「商売道具の肩を壊すなんてひどい」「壊した人はどう責任を取るんだ」

完治まで時間がかかった結果、シーズンに影響が出るだけでなく、最悪の場合は選手生命に影響が出ないか心配だ。右腕を引いたファンの法的責任はどうなるのか、冨本和男弁護士に聞いた。

●高額の賠償金が発生するリスクも

ーーしばらくプレーできない、あるいは引退が早まったなど影響が出た場合、民事での責任はどの程度になると考えられるでしょうか

「そのファンの行為が原因で、怪我をしたことが立証されればの話ですが、治療費等の実際にかかった金額については当然請求されることになるでしょう。

また、後遺症がのこり早期引退となってしまった場合、早期引退によって将来得られなくなったと考えられる減収分、治療・後遺症の精神的苦痛についての慰謝料についても責任を負うことになると考えられます」

ーー金額にして、どれくらいの損害賠償責任を負うことが考えられますか

「報道によると、松坂選手の年俸は8000万円プラス出来高払いとのことです。どれくらいの金額か定かなことは言えませんが、早期引退の原因となってしまったら、数千万円単位で賠償金が請求される可能性もあると思います」

ーー刑事についてはいかがでしょうか

「右腕を引く行為は、人の身体に対する有形力の行使と言えますので、暴行罪の責任を負う可能性があります。『2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料』という処罰を受ける可能性があります。

靭帯損傷等の怪我をさせていた場合、傷害罪の責任を負う可能性があります。この場合、『15年以下の懲役または50万円以下の罰金』という処罰を受ける可能性があります。

いくら松坂選手のことが好きでも、大切な体を痛めるような接し方はファンの最低限のマナーとして控えてほしいですね」 (弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp