野口英世輩出の日本医科大、学長が語る伝統とダイバーシティー
―伝統はどう受け継がれ、どのような変革を迎えていますか。
「公に尽くす事を意味する“克己殉公”の精神が今も校風に息づいている。海外で感染症の研究に尽力した野口英世や肥沼信次ら卒業生が、それを体現している。付属病院の強みである救急医療にその精神が受け継がれている」
―学生教育に変化はありますか。
「学生のやる気を生かすためITを取り入れた学習支援システムを採用している。システムから資料をダウンロード可能にし、予復習を促す。さらに、成績優秀者は授業の出席が免除される制度があり、学生はeラーニングを利用して学習しつつ、その期間を研究や留学にあてることができる」
「少人数のグループで討論を交えながら行うスモールグループラーニング(SGL)にも、ITを活用している。電子黒板に学習データが記録されるため、他のグループの学習内容を見ることができる。また、データ蓄積により学生が間違えやすい課題が可視化する。こうしたデータから、人工知能(AI)を活用した教材作りを進めている」
―研究の強みは。
「がん患者の生体試料を集めたバイオバンクの構築に力を入れている。どのような治療を受けて耐性が生じた患者の試料なのかといった、従来検体とのひも付けが困難だった詳細な臨床データを登録し、がんの研究に利用している」
「女性医師の研究支援にも積極的だ。育児中の女性医師の取り組む研究テーマに対し、興味がある学生を募集する。そして学校から学生に費用を出して研究の補助をしてもらう制度がある。これにより、時間に制約がある育児中の女性医師も研究に取り組むことができる」
【略歴】げんま・あきひこ 83年(昭58)日本医科大医学部卒、89年同大大学院修了。98年同大講師、04年同大助教授、同年付属病院輸液療法室室長。07年同大准教授、08年同大主任教授。15年同大学長。山梨県出身。61歳。
