養鶏場から110個の卵を盗んだ男のジャケット(画像は『Кременчуцьке відділення поліції ГУНП в Полтавській області 2018年3月21日付Facebook』のスクリーンショット)

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キリスト教の教派がオーソドックス(正教会)であるウクライナでは来月8日に復活祭(イースター)を迎えるが、当日は教会や町のいたるところに卵の殻を色鮮やかに装飾した“プィーサンカ”が飾られる。この時期になると卵の取引が盛んになってくるが、このほど養鶏場で働く男が110個もの卵を盗んで逮捕された。その男の突拍子もない手口がネット上で話題になっている。地元メディア『УНІАН』などが伝えた。

ウクライナのポルタヴァ州警察が、今月21日に公式サイトで発表した卵泥棒の事件が世間を騒がせている。『English Russhia』によると、同州のクレメンチュークにある養鶏場で働く35歳の男が職場から毎日110個の卵を盗んでいたというのだ。

逮捕当日、養鶏場の警備員が男の行動に不審を抱き確認したところ、盗みが発覚し地元クレメンチューク警察へと男は引き渡された。110個ともなると仮に10個入り1パックとして、11パックになりかさ張るものだが、男は逮捕されるまで誰にも気づかれることなく盗み続けていたようだ。

それは男が着用していたお手製のジャケットに秘密があった。内側に卵サイズの小さなポケットが無数に縫い付けてあり、全部で110個の卵を収納できるようになっていた。着用時にはジャケットの表面は丸みを帯びた卵のおかげでダウンジャケットでも着ているかのように見えたことだろう。

この卵泥棒のジャケットを知った人達からは、「これはノーベル賞もの」「発明特許を申請したほうがいい」といったジョークが飛び交った。しかし投稿サイト『imgur』には、ウクライナの決して良いとは言えない経済状況を指摘するコメントが見受けられた。

「イースター前の卵の価格は、ウクライナ通貨で換算すると10個で平均27フリヴニャだ。男が110個の卵をすべて売ったとしても、約300フリヴニャ(約1,200円)を手に入れることになる。」

これに対して「何それ? それって1980年代の価格でしょう!」「彼が毎日110個の卵を売ったとしても月に230ドル(約24,000円)程度か」といった驚きの声があがった。

国・都市の生活情報が比較できる世界最大の統計サイト『Numbeo』によると、2018年3月現在でウクライナの平均手取り月収は6,682.73フリヴニャ、日本円に換算すると26,754円ということになる。男が盗んだ卵は他国の人々からすると僅かな金額だとしても、男にとっては大きな金額だったに違いない。

今回の卵泥棒の一見ユニークなジャケットからは、ウクライナの厳しい現状が垣間見ることができたと言えよう。

画像は『Кременчуцьке відділення поліції ГУНП в Полтавській області 2018年3月21日付Facebook』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)