さっぽろ雪まつりで北海道大学恵迪寮(けいてきりょう)が出品した雪像がユニークだと、ツイッター上で写真が投稿されて話題になっている。

雪を固めた台の上に、大きな雪の玉だけがちょこんと乗っている。作りかけで断念したわけでも、壊れてしまったわけでもない。

「案の募集で唐突に出てきて、『それでいこう』と」

「ふっくらあつあつあんまん」。台の前の立て看板には、こう作品名が記されている。つまり、中華まんのあんまんを形作った雪像というわけだ。


看板の紹介文には、北海道らしく「十勝産小豆使用」と銘打ってあった。

ただ、紹介文の続きがまた変わっている。

「見ろこのあんまん、注意散漫 運営カンカン、倒れる凶弾 夜道背後に迫るスタンガン!」

ツイッター上では、2018年2月4日ごろからこの雪像の写真が次々に投稿されて反響を呼んでいる。紹介文がラップ調で面白い、韻を踏んでいるのでは、といった声が上がった。恵迪寮は日本三大自治寮の独自な活動で知られるだけに、恵迪寮らしさ全開だ、といった感想も寄せられている。

札幌市内で開かれている雪まつりでは、希望者を募って、市民雪像を設置してもらっている。北大恵迪寮の作品は、その1つとして作られたものだ。

そこで、なぜこんな雪像を作ったのか、Jタウンネットでは2月6日、恵迪寮の寮生に取材した。雪像を作る隊長をしている北大総合理系1年の東谷湧太さん(20)は、その経緯を次のように説明した。

「寮内で紙を配って雪像の案を描いてもらい、10案ほど集まった中で、あんまんの絵にしました。唐突に出てきて、『それでいこう』と多数決で決まりました。あまりにインパクトが強すぎて、『これはヤバい』といった声も出たほどです。これまでは、建物やキャラを雪像で作っていましたが、今回、飾りは一切なく、シンプルなものを作って出すので、ぶっ飛んでいると思います」

1年生5人で、2日間かけて雪の塊を削る

「運営カンカン」というのは、ほかの出品者がしっかりした雪像を作る中で、雪まつりの運営から怒られるかなと思って入れたそうだ。

あんまんの雪像の下にあるいくつかの小さな雪の玉は、大きな雪の玉が転がりそうで危ないと運営側から言われ、滑り止め用に設置したという。東谷湧太さんは、「運営カンカンにはまっちゃいましたね」と言って苦笑した。

「紹介文は、『ラップで書けばいいんじゃね』と僕が考えました。ラップの動画を見ていて、ダークな言葉を入れようと、そのとき浮かんだ適当な言葉を合わせたものです。ですから、特に意味はありません」

とはいえ、四角い雪の塊からあんまんの形に削るのは大変だったといい、1年生5人で1日3、4時間作業をして、完成まで2日間はかかったそうだ。


北大恵迪寮の寮生が作った作品(写真は、市民雪像の人気投票を行っている「さっぽろグルメクーポン」の公式アプリから)

作っている途中で、男性が写真を撮りながら「これで完成ですか?」と聞いてきたので、東谷さんは、「はい」と答えた。しかし、男性は、「これが一番アートですね」と漏らし、東谷さんも、「現代アートです」と説明した。

あんまんの雪像について、さっぽろ雪まつり実行委員会では、本部の広報担当者がこう話した。

「市民が自由に作るものですので、作られた作品を見て怒るということは、まったくありません。ただ、雪像が壊れるかは問題になりますので、危険がないように状況に応じて随時呼びかけなどをしています」

なお、市民雪像については、2月5〜9日まで計84体の人気投票が行われており、10日午後に結果が発表される。