去就が注目されるダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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他メディアは「ヤンキースと契約」の「大胆予測」も…本命はやはりカブス?

 ドジャースからフリーエージェント(FA)となったダルビッシュ有投手の争奪戦が最終局面を迎えている。米スポーツサイト「ブリーチャーレポート」が「大胆予測」として「ヤンキースと5年契約」というシナリオを掲げるなど、依然として情報は錯綜しているが、一貫して「本命」の1つと見られているのが、2016年の世界一球団カブスだ。地元紙「シカゴ・サンタイムズ」は、カブスからFAとなったジェイク・アリエッタ投手との再契約、そしてダルビッシュ獲得という2つの選択肢を比較した上で、ダルビッシュ獲得を進言している。

 比較対象となっているアリエッタは、今オフのFA市場でダルビッシュと並んで先発投手としての最高評価を受ける右腕。カブス移籍3年目の2015年には、22勝6敗、防御率1.77の圧倒的な成績でサイ・ヤング賞を受賞。さらに、翌16年も18勝8敗、防御率3.10で世界一に貢献したが、成績は徐々に下降線を辿っている。

 記事では「シカゴはジェイク・アリエッタのことを知っている。我々は彼の長所や短所を理解している」と指摘。一方で、「シカゴはユウ・ダルビッシュのことをよく知らない。我々は彼のことを知っているし、昨シーズンのワールドシリーズでの彼の不振を目の当たりにした。しかし、我々がアリエッタを知っているように、彼のことを知っているわけではない」とも言及。その上で「カブス、そしてカブスファンの場合はどうだろうか。 見慣れた、もしくは見慣れない選手のどちらを選ぶのだろうか?」と投げかけている。

 そして、執筆者のリッキー・モリセイ記者は「私は見慣れない選手、ダルビッシュを選ぶ」と断言。その理由についても記している。

ダルビッシュは「健康であれば、非常に良い」

 同記者はまず「アリエッタ(との再契約)に反対しているわけではない」と言及。元エース右腕がカブスで残した功績を称えている。ただ、やはり気になるのが成績の下降だという。サイ・ヤング賞獲得の翌年に18勝8敗をマークした右腕だが、暴投を16度も記録するなど、制球面に不安定さが表れた点を指摘。これは「過去4年の通算よりも多い数だった」というのだ。防御率3.10という数字も、守備陣の素晴らしさに助けられていたと言及している。球速も徐々に落ちているという。

 一方で、ダルビッシュについては「健康面に問題がある」と分析。ただ、「健康であれば、彼は非常に良い。昨年も含め、故障のなかった4シーズンではそれぞれオールスターに選出されている」と評価。「昨シーズン、カブスはナ・リーグ優勝決定戦シリーズで素晴らしいダルビッシュと対戦した」とも付け加えているが、「しかし、彼は自身のキャリアにおいて、さらに優秀な球団相手には良い成績を残すことができていない。ワールドシリーズ、アストロズ戦での不振を考えてみよう」と、健康面以外の不安材料を挙げることも忘れていない。

 そして「結局はダルビッシュが大きな故障なしにシーズンを送ることよりも、アリエッタが以前の偉大さを取り戻すことを信じるのか、ということだ」と言及。カブスファンの中には、チームの世界一に貢献したアリエッタに愛着を持っている人もいるかもしれないが、そう簡単な問題ではないという。最後は「両投手とも31歳であり、それぞれ長所と短所がある。カブスにとって明白な正解はない」と結んでいる。

 いずれにしても、カブスが先発投手の補強をしなくてはならないことは確か。しかも、エース級の投手が必要と見られている。地元紙が“ダルビッシュ推し”の中、どんな結末を迎えるのか。鍵はカブスが握っているのかもしれない。(Full-Count編集部)