14日放送、フジテレビ「スポーツLIFE HERO'S」では、昨年の世界選手権で負傷した体操内村航平を取材。自身初となるオフシーズンの海外合宿を行い、復活に向けて順調にトレーニングを重ねる王者の美学を伝えた。

昨季は体操界で初めてプロに転向したものの、身体の故障に燃え尽き症候群と、満足いく練習が積めない日々が続いた内村。王者を揺るがす最大の敵は、モチベーションの維持だったのだ。

だが、オーストラリアの抜群の環境で目一杯体操ができるという喜びが大きな刺激に。佐藤寛朗コーチは、「良い状態で練習できていると目に見えて感じている」と明かす。

内村は「『自分、体操好きだな』みたいのをまた感じている。体操クソ馬鹿野郎ですね」とコメント。「引くぐらい(体操のことを)考えていますからね、本当に」と、「体操を愛している」という昨年を超える名言を口にした。

去年の世界選手権で個人総合金メダルのシャオ・ルウテンは、技の完成度を示すEスコアがトップだったのに対し、難易度を示すDスコアは上位5人中最下位だった。演技の質を重視する新ルールが顕著に表れており、内村も「そういう演技にしか(点数が)出ないんだろうな」と語る。

それでも、内村は合宿で高難度の新技習得に挑んだ。時代の流れに相反する行為だが、内村は「それぞれ戦い方があるかと思いますけど、僕は美学があるので。難しいことを精度高くやる、そして勝つというのが本物じゃないか」と述べた。

その内村が「単純にやってみたい。新しい自分を見せたい」と取り組んでいるのが、鉄棒のブレッドシュナイダー(バーを越えながら抱え込み2回宙返り2回ひねり)。あえてH難度の超大技といういばらの道を進む、まさに「体操クソ馬鹿野郎」だ。

10月の世界選手権に向けて「自分自身へかける期待もかなり大きい」という内村は、「身体もいつも以上に出来上がりそうな予感がしている」と手ごたえをうかがわせている。昨年のケガは「本当に今となってはすごくプラスに働いている」と振り返った。

ただ、昨年はそのケガで世界選手権を最後まで戦えなかっただけに、「世界の舞台でやってこそナンボ」という内村は、復活のシーズンに向けてこう意気込んでいる。

「逆襲とかリベンジというより、『お待たせ』って感じですかね」