中国当局は、国連安全保障理事会の制裁決議を受け、自国内で働く北朝鮮労働者について、就労ビザの期限が満了すれば延長を認めず、帰国させている。丹東の工場の中には、北朝鮮労働者の半分が帰国したところも出ている。韓国の聯合ニュースは、帰国した労働者は9月だけで2600人に達するとの見方があると伝えた。

(関連記事:丹東を去る北朝鮮労働者続出…半分以上が帰国した工場も

その一方で、中国当局は、北朝鮮労働者の違法な受け入れを黙認したり、便宜を図ったりしているのではないかとの疑惑が浮上している。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮の労働者が、正式なパスポートではなく、渡江証(臨時通行証)を使って中国に入国し、違法に就労している。遼寧省丹東の事情に精通した情報筋は、渡江証を使って中国に入国する北朝鮮労働者を目撃したと証言した。

この渡江証とは、「中朝辺境地域通行に関する協定」に基づき発行されるもので、相手国に最長で1ヶ月の滞在が可能だが、国境地域以外の住民には発行されない。

ところが、渡江証が平壌や周辺地域に住む人々に与えられ、これを使って中国に入国した例があることを確認したと別の情報筋が伝えている。

中国政府は国際社会の対北朝鮮制裁を履行するための措置を矢継ぎ早に打ち出しているが、北朝鮮労働者がいなくなり労働力不足に陥った地方政府が、制裁を破って労働者を違法に受け入れている可能性は排除できない。

密輸に関しても、中朝両国の国境警備隊が関与しているとの情報がある。

(関連記事:中国の北朝鮮向け「石油密輸船」が火災で沈没)