デジタル機器と疲労の関係を調査結果から解説する古賀教授

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パソコンやタブレットPC、スマートフォンなどのデジタル機器は、年代や職業に関わらず日常生活に欠かせないアイテムになり生活を豊かにすると思われる一方で、体や心を疲労させている――。

精神科医で杏林大学の古賀良彦名誉教授らの調査が2017年8月29日、東京・丸の内で開かれたアスタリール株式会社主催のプレスセミナーで報告された。

疲労は体、心だけでなく社会性にまで影響

調査はインターネットによるアンケート方式で行われた。まず、現代人はどの程度疲れを感じているか、全国20〜50代の男女2万人に聞いた。すると、約9割は疲労を自覚していて、古賀教授は「13年前に報告された同等の調査と比べても疲れを感じている人は確実に増えている」と話した。

デジタル機器の使用実態についても聞いたところ、半数近くが1日に4時間以上、6人に1人は8時間以上も使用していた。そこで、改めて疲労とデジタル機器の関係に注目。930人を対象に詳しく調べた。

本調査では、平日の疲労レベルや1日のデジタル機器の使用時間などを調査した。

疲労の種類は、
(1)目の疲れや肩こり、腰痛など身体的なもの
(2)不安やイライラ、やる気、気分の落ち込みなど精神的なもの
(3)他人への興味や関わり方などの社会性

といった3つのジャンルでアンケートした。その結果、現代人の疲労はジャンルを横断した複合的なものだとわかった。

身体的、精神的な疲れを感じている人は男性に比べ女性が高い傾向にあった。社会性に関する疲労には性差はなかった。

デジタル機器の使用実態については、最も使用時間が長いデジタル機器はスマートフォンで、約7割の人は寝る直前までデジタル機器を使用していることも判明した。

調査結果を分析した古賀教授は、注目すべき結果だとして「スマートフォンを長時間使用している人は、体の疲れがとれにくく、気持ちも落ち込みやすい、そして社会性の低下から生活そのものを楽しめなくなっている可能性があります。生活の充足度まで大きく影響を及ぼす『デジタルライフ疲労』と呼ぶべき現代人特有の疲れをうまく解消する術が必要です」とし、対策を紹介した。

おすすめの対策法は3つの「R」

基本の対処法として、Rest(休養)・Relax(寛ぎ)・Recreation(楽しみ)の「3R」が紹介された。自分に合った方法を見つけ、1日に1回は実践することで疲労の蓄積を防ぐと同時に活力を生み、コミュニケーション能力を回復させる。

特にRecreationが重要だ。今回、調査対象者にその方法をアンケートすると、「甘いものを食べる」「飲酒」「好きなものを好きなだけ食べる」など食に関することが多かった。好物のとりすぎは身体に悪い影響を与えるリスクもある。

「楽しみでも、Re-creat(再生)という考え方が大切です。疲労状態から積極的に立て直すために、自分の好きなものだけでなく効果が証明されているサプリメントなどを利用するのもひとつの手だと思います」(古賀教授)。

現在、疲労感の軽減やストレス対策を目的にした機能性表示食品はいくつか売られている。今回のプレスセミナーを主催したアスタリール社も、高い抗酸化力を備えアンチエイジング成分として注目されている「アスタキサンチン」を含む機能性表示食品「アスタビータe」を発売している。このサプリメントは、デスクワークと運動の両方の組み合わせによる一過性の疲労を軽減効果が証明されている。

医師・専門家が監修「Aging Style」