休日のビジネス街、そのどまんなかにある芝生広場にハンモックを100個配置して「最高の休日」を提供するというイベント「the good day TOKYO」が、5月3日〜7日に東京・品川シーズンテラスで開催されました。

ゴールデンウイークにハンモック…… その組み合わせを聞いただけですでに気分がウキウキなのですが、しかもそれが100個も集結するというこのイベント。
そんなに集まって、はたしてどれほどくつろぐことができるのでしょうか…… 実際に味わってきました。

5,000人が“昼寝”する光景


JR品川駅港南口から徒歩5分。巨大なオフィスビルの間をすり抜けるように歩くと、今回の会場「品川シーズンテラス」が見えてきます。新幹線の線路がすぐ脇を通る“ザ・都会”なオフィス街のどまんなかにひろがる、34,000平方メートルもの広大な緑地。

その立地からドラマのロケ地としても広く使われており、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」では星野源演じる津崎平匡(つざき ひらまさ)が新垣結衣演じる森山みくりとピクニックに興じる舞台としても使われました。名前自体は知らずとも、みなさん一度はテレビで目にしたことがあるかもしれません。

そんな「逃げ恥」を思い出しながら会場に足を踏み入れると…… 待っていたのは「ここはビーチか!」と思わず声をあげたくなるような、リゾート感あふれる景色!



芝生の上にところ狭しと並んだハンモックに、東京中からコピペしてきたのではないかと思うようなファミリー・カップルたちの集団、集団、集団……。ちょっと前の花見シーズンを思い出すような賑わいです。これだけ集まったら、騒ぎ声で“くつろぐ”どころじゃないのでは?

ところがどっこい。目に入る光景は「にぎやか」そのものなのに、会場はびっくりするほど静かなのです。目をつぶったら、ひとりで公園に遊びに来ているのとかわらないほど。

カンのいい方はお気づきですね?
そう、みんな“寝ている”んです。
見渡す限りの集団が、春の日差しを浴びながらスヤスヤと……。
くう…… なんて気持ちよさそうなんだ……。



あまりにうらやましすぎて、無粋を承知でお目覚めしたての優しそうなカップルにお話を聞いてしまいました。

── おやすみのところごめんなさい。寝心地いかがですか?

「ん?あ? い、いま何時ですか? ……おおっと! 2時間も寝てた! ちょっとウトウトしてたつもりだったのに!」

── かなり熟睡されてましたね!(笑)

「いやぁ〜、想像以上に気持ちよくて(笑) 実はきょう生まれてはじめてハンモックを体験したんですけど、こんなに気持ちいいものだとは知りませんでした……」

── きょうがハンモック初体験??

「そうなんです。ハンモックって、木と木のあいだにつるして使うイメージじゃないですか。キャンプ場でも行かなきゃ体験できないだろうなぁ、と思っていたんですが、まさかこんな都心で、しかも遊びに行った帰りにふらっと体験できるとは思いませんでした」

めいっぱい遊んだ帰りに広々とした公園でお昼寝。ゴールデンウイークの過ごし方としては最高すぎじゃないですか!
見ていてこっちまでウトウトしてきました……

スグレモノのハンモックは清流の寝ごこち


今回用意されたハンモックは、アウトドアメーカー・ノルコーポレーションの自立式ハンモック「TOY MOCK(トイモック)」。軽い素材でできたフレームを組み立てるだけで簡単にハンモックを楽しめるスグレモノだとか。
実際に体験した方のうらやましい話を聞いてしまったら、試さずにはいられません。



しかし筆者は体重100キロの巨漢。全体重をゆだねてうっかりバキっといったらどうしよう……
でも、そんな心配は無用でした。
コンパクトな見た目とは裏腹に、その安定感は抜群。
伸縮性と弾力性を兼ね備えた素材のハンモックが繭のように身体をしっかりつつみこんで、なんど寝返りをうってもまったくバランスをくずしません。



ハンモックはメッシュ状になっていて、そこをサラサラと通り抜ける風がまた気持ちいい……! まるで川の清流に身をまかせているような心地です。
こりゃぁ、2時間も寝てしまうわけだ……

ブックスタンド、サックス演奏つきDJ…… 休日気分を盛り上げる仕掛けがいっぱい




会場には、天国のようなひとときをさらに引き立ててくれる仕掛けもたくさん。
さまざまなジャンルの本を手にとってハンモックまで持っていけるブックスタンドにこだわりのコーヒーを楽しめるコーヒースタンド、そしてスムースな音楽に乗せてサックスを生演奏するDJブースまで、まるでウィンドウショッピングをするように時間の楽しみ方を選ぶことができました。



フェスの次には「場」が来る?


今回の「the good day TOKYO」を主催したのは、「社会人ラップ選手権」や、50,000個のボールプールに入って楽しめるクラブイベント「tamapa -たまパ-」などのユニークなイベントを手掛ける「株式会社ハイ」。
一風変わったテイストのイベントを数多く手掛ける「非日常のプロ」が、どうしてこんなイベントを企画したのか? 同社クリエイティブディレクターの藤本太一さんはこう話してくれました。

「これまで”非日常な光景をつくり、そこに飛び込んでもらう”というテーマにずっと取り組んできたのですが、ふと途中で立ちどまったとき、それってある意味受け身なコンテンツになってしまっていないかな? と自問自答したんです。」

フェスの先には「場」が来るのではないか、と話す藤本さん。
「参加する人の数だけ楽しみ方ができるような場ができたら」という思いから、「自分たちの日常の楽しみ方を見つけてもらおう」というコンセプトの「the good day TOKYO」を企画したのだそう。

あちこちで「フェス」と名前のつくイベントが開催され、すっかり「フェスブーム」の昨今ですが、もしかしたらその先には、いろんな過ごし方を選ぶことができる「場ブーム」が来るのかもしれません。

1日平均来場者数5,000人と大盛況だった「the good day TOKYO」。これからも春や秋のはじめ、「風が気持ちいい時期」に開催していく予定だそうです。いまから次回が楽しみ……!
(天谷窓大)

the good day TOKYO公式ウェブサイト
http://good-day.tokyo/